1年間の100マイル地元食の挑戦も残りわずかとなった4月。振り返れば、多くの友人や食材との出会いが、私たち家族の背を優しく押してきてくれました。最後の夜は何を食べたい?何を想うのかな?間近に迫ったゴールのことを考えるようになりました。

今回は、4月に起こった出来事のダイジェスト。目を閉じると鮮明に浮かぶ、地元の野山や海のストーリーです。

 

春の陽気に食欲があふれ出す

昨年6月から始まった、自分から100マイル(160.9km)の範囲内で作られた食べ物だけで生きる1年間のチャレンジ。11か月目の4月は、本当に盛りだくさんの1か月になりました。

我が家がある北海道にも控えめな春が訪れ、まだおぼつかない陽光をせいいっぱいに浴びた柔らかな野菜が手に入るようになりました。刻んだ三つ葉の香りを加えたシンプルな自家製ドレッシングは、普通のサラダを飛びきりの味にしてくれました。

三つ葉ドレッシングのサラダ
三つ葉ドレッシングのサラダ

春の陽気は、子供たちの食欲を爆発させました。長男(6)と長女(3)は、妻がフライパンだけで焼く、ちぎりパンに夢中です次男(0)には、大人が食べている物を小さくしてあげます。何が入っているかぜんぶ知っているからこそできる、一番簡単な離乳食です。

あっついからフーフーしてー
あっついからフーフーして-

 

命と想いのバトンを受けて

我が家の食卓に、新しいお肉が並ぶことになりました。「むかわジビエ」のハンター、本川さんが撃った地元のエゾ鹿肉です。彼女は、誰よりも命を大切にするハンターです。命の尊厳に向き合い大切に届けてくれた鹿肉は、野生のたくましさにあふれた深い赤色をしていました。

えぞ鹿の内モモ肉
深い赤色のえぞ鹿の内モモ肉

火の通し方一つで、柔らかくも硬くもなってしまう繊細な鹿肉は、まずは内モモをおススメの鹿カツでいただきました。しっとりホロホロと肉の繊維質を感じます。赤身のシンタマ肉は燻製にしました。野山から真っ直ぐ届く、命と想いのバトンリレー。熟成された旨味と香りの先に、むかわ町の野山が見えて気がしました。

鹿肉の燻製
熟成した赤肉の旨味が詰まった燻製

 

地元の海の命に触れる

高校からの友人で、自称「魚食の伝道師」の青木君を招いた2度目の水産ウィーク、地元の海は力強く私たちを迎えてくれました。いつも驚かせてくれる東静内の魚屋さん「高槻商店」で、幻の深海魚、紅神目抜(コウジンメヌケ)と出会いました。

コウジンメヌケと青木君
超高級魚に少しおかしくなった青木君

刺身とカマ焼きアラ汁に兜焼き春風のように爽やかモテ男のセイトウ君と一緒に囲んだ超高級魚のお料理たち。たっぷりと脂がのった特別な美味しさに心を奪われました。

紅神目抜の兜煮
青木君とセイトウ君が作った紅神目抜の兜煮

我が家のスター、寿都町役場の大串さんが漁船に乗せてくれました。荒れる寿都湾で行われた定置網漁。目の前で次々と揚がるサクラマスに足が震えました。地元の海の限られた資源を守りつつ、獲れた魚の価値を最大限に高める漁師さんたちの誇り高いプロの仕事に感動しました。

網起こし作業
漁が始まるとすぐに船上は魚であふれ返る

辛抱して熟成させた「Ocean to Table」のサクラマスの刺身は、これまで食べたどんな鮭の刺身よりも心に沁みる味をしていました。

ラストディナーまであと1カ月

5月末のゴールまではあと1か月。毎日のように発見と感動があって、長いようであっという間にここまで来ました。妻との会話でもいつしか、どうゴールするかの話が増えてきました。そして、あるアイディアを形にしようと考えたのです。

「この1年間で出会った友人が作った食材だけのラストディナー」

最後の夜に食べるご飯は、我が家の挑戦を支えてくれた地元の生産者さん達に感謝のメッセージを伝えられるメニューにしたい。そう考えたのでした。

挑戦を通して気が付いた100マイル地元食の本当の楽しさは、生産者さんにいつでも会いに行けることです。残り1か月でできるだけ会いに行こう。やり残したことは、まだまだたくさんありました。