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【2月ダイジェスト】一歩ずつ春に向かって

EPISODE #171

【2月ダイジェスト】一歩ずつ春に向かって

2018.3.29

月次ダイジェスト

2月は北海道の冬が一番厳しくなる時期。手に入る野菜や魚は限られたもので、代わり映えしない食卓に気持ちが揺らぎます。そんな中でも、ずっと探し求めていた「醤油」の目途が立ったのは明るい話題でした。少しずつ、ちょっとずつでも進むしかないのです。

今回は、厳しい冬の中でも小さな希望を見いだせた2月のダイジェストです。

 

春に憧れる真冬の食卓

自分から100マイル(160.9km)の土地で作られた食べ物だけで生きていく100マイル地元食の挑戦も8カ月目になりました。2月は、我が家がある札幌でも、月の3分の2は最高気温までマイナスです。辺りはいまだ雪に閉ざされて真っ白です。

 

冬の海

北海道はまだ凍てつく寒さ

こんなに寒くては野菜も作れず、直売所の棚からはキャベツが消え、カボチャが消え、白菜も消えてしまいました。近所のスーパーで買える野菜は、じゃがいもと玉ねぎ、モヤシとキノコとブロッコリースプラウトぐらいです。海の水温も低く、買える魚もぐっと減ります。

毎日が、牛すじ肉と残り野菜のスープ。すごく美味しいし、身体にも良いのでしょうが、毎日食べ続ければ話は別です。いつか来るはずの春に思いを馳せながら、代わり映えのしない食卓にため息をつきます。そんな私たちを笑顔にしてくれるのは、やっぱり作り手の想いがこもった素敵な食べ物たちでした。

 

ふるさとの魅力を伝える新得地鶏

雪の新得町(しんとくちょう)で出会ったのは、自動車教習所で育てられた地元想いの “新得地鶏” でした。新得モータースクールの武田社長は、新得町の魅力を発信できるならと一念発起して地鶏の飼育を始めました。在来種100%の血統のヒナを、新得町名産のそばを食べさせて育てています。

新得地鶏

赤身の色が濃い新得地鶏

“新得地鶏” の身は、筋肉質で力強い赤色をしていました。スーパーで買えるピンク色のブロイラーとは明らかに違うこの地鶏の存在感。固くたって良い、匂いが強くたって良い、地鶏そのものが持つ力強さを味わいたいと思いました。

多めの油を引いたフライパンで、皮がカリカリになるまで強めの中火でジュウジュウ焼きます。味付けはシンプルに塩だけ。“新得地鶏” のカリカリ焼きです。カリ、グッグッ、ジュワー。新得町でのびのび育ったヒナは、町の力強さと旨味を内に秘めた立派な地鶏になっていました。

新得地鶏のカリカリ焼き

歯応えたっぷり新得地鶏のカリカリ焼き

 

木桶仕込み醤油と垂れ味噌

8カ月間、我が家が探し求めてどうしても手に入れられなかった調味料「醤油」。地元の醤油が無い理由を知りたくて、伝統的な醤油作りから勉強することにしました。小豆島で150年続く醤油醸造元「ヤマロク醤油」の「木桶職人復活プロジェクト」に参加しました

ヤマロク醤油裏庭遠景

ヤマロク醤油裏庭は別世界の入口

100年後の伝統的な醤油作りを守るため、木桶作りから始めたヤマロク醤油。いつしか、そのシンプルな想いに共感して、木桶職人、醤油職人、消費者が小豆島に集まっていました。一緒に楽しむことで伝統を守る。SNS世代の新しい伝統の守り方を体験することができました

結局、地元に醤油が無いのはまたも地元に塩が少ないことが原因でした。醤油が作れないなら、醤油っぽい調味料を作れば良いんだ。服部醸造の “オール八雲味噌” を使って室町時代の調味料「垂れ味噌」を作りました本物の味に近づいた久しぶりの茶色い汁のうどんに、子供たちも喜んでくれました。

足踏みうどん

垂れ味噌つゆの足踏みうどん

 

子供たちの成長と春への期待

私が家を空けることが増えても、子供たちは少しずつですが確実に成長しています。妻が作る豚ロース肉のサイコロステーキは、子供たちが大好きなメニューです3日連続でこの素朴な肉料理をリクエストした彼らにとって、食べる物すべてが感動で満ち溢れているのでしょう。

流氷が押し寄せていた紋別(もんべつ)、オホーツクファーム喜多牧場の生乳と砂糖だけでできた世界一正直なソフトクリームに出会いました。長女(3)は一口ずつゆっくり大切に食べていました。飾らないことは隠さないこと。喜多さんご夫妻の酪農への想いが伝わってきました。

ソフトクリームと長女

大切そうにソフトクリームを食べる長女

自分で食べる物を選び、作った人に会いに行く。それだけで、我が家の食卓は彩りを取り戻します。やっぱりもっと外に出よう。外の世界は新しい出会いに満ちています。出会いがあれば、どんなに辛い季節でも100マイル地元食を続けていけます。

雪が解け始めるのはもう少し先ですが、穏やかな日が差す午後が増え、春は確実に近づいていることがわかります。3月になればチャレンジは残り3か月、ぼんやりですが5月末のゴールが見えてきます。

白鳥

春になれば白鳥は北に向かう

 

 

 

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