短い北海道の秋。今しかない旬の食べ物を買い逃さないためには、常にアンテナを張って、走り回るしかありません。

この時期にしか買えない大事な旬の魚、秋味。今回は、今にも降り出しそうな雲の下を走って買い出しに行ったお祭りのお話。

厚田漁港のふるさとあきあじ祭り

観測史上初めて、九州、四国、本州、北海道の4島すべてに上陸した台風18号は、おまけにサハリンまで到達して、すでに秋本番を迎えていた北海道の空に、湿った空気を運んできました。

台風が過ぎ去った後も、数日の間は、強い雨や風が続きました。この日も、大事な週末なのに分厚い曇。北海道内の各地で、海の幸、山の幸をテーマにしたイベントが開かれていました。我が家が選んだイベントは「厚田ふるさとあきあじ祭り」でした。

厚田は、たびたび訪れている厚田港朝市がある漁業の町です。6月にはシャコ8月にはタコを買うことができました。今は、秋味(あきあじ)の季節。つまり秋になって川に産卵に戻ってくる白鮭が主役の季節です。

鮭が無いとおにぎりが作れない

我が家では、秋味の季節をずっと待っていました。鮭おにぎりに鮭フレーク、100マイル地元食を始める前、我が家の子供の食生活の中心には、ずっと鮭がありました。その時は、鮭が手に入らないなんて想像もつきませんでした。

スーパーの売り場に行けば、1年中、鮭製品が売られています。塩鮭、輸入サーモン、鮭フレークの瓶、100マイル地元食ルールだと買えない物ばかりです。塩も輸入品も範囲外、鮭フレークに至っては、範囲外の原材料が多すぎて論外でした。

6月に合わせて2匹分も買って冷凍しておいたトキシラズも底をついたことで、おにぎりを作る機会が減り、サンドイッチばかりになっていました。今年も鮭が100マイル内に帰ってきてくれた。どんよりした空の下、札幌から厚田まで1時間ほど車を走らせました。

メス鮭がずらり

厚田の海に面した広い芝生の会場には、メインステージと食べ物を販売するテント、そして、秋味を山盛りにして売っているブースがありました。厚田港朝市にも出店している地元の水産加工会社さんの相原水産です。

売られているのは全てメス。この時期の卵を持ったメスの人気は圧倒的で、憐れなことにオスは鮭フレークや鮭とばになります。せっかく北海道に帰ってきたのに、川に上る前に捕まって、人目に触れずに静かに加工されていくオス。男の人生の悲哀です。

どのメス鮭を選んだら良いか、まったくわからない私。しょうがない、「好きな鮭選んでいいよ。」息子に委ねてみました。ずらりと並んだ鮭を見回して「これ!」と選んだのは、一番大きくて一番高い1本でした。「ごめん、それは大きすぎるな。」結局、一番小ぶりな鮭を選びました。息子には申し訳ないことをしました。

降り出した雨に焦る気持ち

お昼を過ぎて、メインステージでは、鮭の重さ当てクイズが終わり、よさこいソーランの演舞が始まりました。窮屈で重そうな和装で激しく見事に踊るチームを見ていると、それまで堪えていた低く厚い雲から、ぽつりぽつりと雨が落ちてきました

冷たい雨に焦りだします。北海道の秋は、あっという間に通り過ぎます。その先は、全てが真っ白になる冬です。今のうちにしか、見られない食べ物、会えない生産者さんがたくさんいます。やっと鮭が手に入った今、絶対に欲しかったのはお米でした

100マイル内の米は豊富で、スーパーでいつでも買えます。ですが、まだ米を直接買える農家さんに出会えていませんでした。秋味の季節は、稲刈りの季節でもあります。この時を逃せば、1年に一度の大イベント、稲刈りを見逃してしまうかもしれません。

妻と子供たちを車に押し込み、車を反対方向に走らせるのでした。