男なんて生き物は、結婚記念日をいつまでも覚えていられません。最初からそう諦めていました。

だから、私たち夫婦の結婚記念日は、8月31日にしました。本州では夏休みの最終日の宿題に追われる日です。これなら忘れない。

今回は、結婚記念日なのに魚を求めてロングドライブをした、これまた忘れられない1日のお話。

夏の北海道には魚がいない?

最近、肉料理ばかり食べていました。北海道の夏は涼しく、関東から来た我が家にとっては快適そのもの。身体はエネルギーを求めて、食欲も旺盛、肉が美味しい季節です。ですが、そろそろ美味しい魚が食べたくなっていました

こんなに涼しい土地なのに、夏バテしてしまう生き物がいます。それが魚。真夏の海水は、北国の魚たちにとっては温かすぎるらしく、深場に逃げて行ってしまいます。つまりなかなか獲れないし、釣りに行っても釣れない。それなら私たちはもっと涼しい北に行こう

久々の食材調達のロングドライブに選んだのは、石狩から、厚田、浜益、増毛、留萌へと抜ける日本海北側のルート。6月の水産ウィークの時、若き魚食の伝道師こと、青木君と開拓したルートでした妻と長女(3)、次男(0)にとっては初めてのルートです。

魚を買いに行くときに忘れてはいけないこと

この日は平日。長男(6)は幼稚園があるので、延長保育のリミットの18時までに帰ってこないといけません。急いで弁当のサンドイッチを作り、車に乗り込みます。最初に着いたのは、厚田港朝市です。以前は、魚もシャコもたくさんあったところ。

朝市に入って、すぐに異変に気が付きます。10軒以上の店が並んでいますが、なんと1軒しか開いていません。聞くと、ここ数日、海が荒れていて漁に出られていないらしい。お店には、100マイル地元食ルールで買うことができない干物や加工品ばかり。かろうじて冷凍のタコだけは買えました。

次に行ったのが、浜益(はまます)の町です。ここで、漁師の店と書かれた鮮魚店を見つけて飛び込みました。ですが、やっぱりここにも魚がいない。理由は同じく、ここ数日の時化のせいでした。しょうがなく、白貝という聞き慣れない貝を1kg買いました。

100マイル地元食の買い出しは、その土地で獲れたものだけしか買えません。ないので、獲れていなければ買えません。海に行くなら、数日間の天気は調べておかなければいけない。漁に出れなきゃ魚が店に出ない。考えてみれば当たり前のことでした。

留萌の駅前自由市場の魚屋さん

次に向かったのは増毛(ましけ)。ここには魚を期待していません。海老が目当てでした。遠藤水産の加工場にある直売所、港町市場にはいつでも海老が並んでいます。大きなボタン海老、前回美味しかった増毛縞海老、そして初めて見たゴジラ海老を買いました。

最後の頼みは、このルートのゴールの留萌(るもい)です。留萌駅のすぐ近くにある、駅前自由市場の中に、密かに信頼している魚屋、長田鮮魚店があります。前回は、ヒラメにカレイ、黒ソイとプリプリ新鮮な魚で溢れていました。

さて今回は?6月より少ないものの、カレイや鮭が並んでいました。そして、見つけました。北海道に来てから初めて見た、地元の真鯛です。留萌からさらに北の羽幌町(はぼろちょう)の沖にある焼尻島(やぎしりとう)で獲れた100マイル内の真鯛です。

目が透き通って、新鮮そのものです。ロングドライブの最後の最後で、結婚記念日にふさわしい、めでたい真鯛が手に入り大興奮です。

ロングドライブの代償

留萌での買い物の時点で、15時を過ぎていました。18時までに長男を幼稚園に迎えに行くため、急いで帰路につきます。帰りは高速が使えるので、2時間半ぐらいの道のりでした。休憩も取らず、車内で他の全員が寝ても、頑張って運転します。

無事に幼稚園に間に合って、父親の苦労を何も知らない息子を出迎えます。我が家に着くころにはすでに力尽きていました。最後の力を振り絞って、真鯛をさばき、ちょっとだけ味見のためのお刺身を作りました。

270kmのロングドライブの代償で、結婚記念日の夜のディナーは、前の日の残り物と、真鯛のお刺身が少しだけの質素なものでした。こんな年があっても良いかな。旦那は一人、この日の自分の頑張りに満足していました。