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時知らずは子供たちのスター

EPISODE #10

時知らずは子供たちのスター

2017.6.20

お料理,シーズン1

 100マイル地元食を始めたとき、私と妻が特に心配していた食べ物がありました。それは、鮭。もう少し言うと、鮭フレークと鮭ふりかけです。

 我が家の3人の子供のうち、兄(5)と妹(3)は、お弁当は鮭フレークおにぎり、夜ご飯には鮭ふりかけご飯。忙しく外出する時は、コンビニで鮭フレークおにぎりを買うことも度々でした。この2つが無ければ、毎日泣き叫んで抗議するのでは。何か手を考えなくては。

鮭加工品は忙しい家庭の味方

 鮭フレークに鮭ふりかけ、どちらもスーパーでもコンビニでも買えて、常温保存ができます。時間が無くても、パパッと使えば子供が大好きな味になります。まさに忙しい家庭の味方です。

 ですが、この2つの食品は、本当に多くの原材料から作られていて、100マイル地元食ルールに合ったものを探すのは絶望的です。

 鮭フレークの鮭は、北海道の秋に獲れる白鮭が使われていることもあって、産地を限定することができます。ですが他にも、油、食塩、砂糖、調味料、着色料、保存料などが入っています。ふりかけも同じようなもの。改めて考えるとすごい物を食べさせていました。

 やっぱり、今回も代わりの何かを作らないといけません。

北海道には鮭の旬が2度来る

 地元産の鮭が獲れ始めるのは9月ごろ。それまで、どうしたらいいか。そんなことを考えながら、スーパーで買い物をしていました。そんな時、鮮魚売り場で出会ったのです、時鮭に。

 時鮭、またの名を時知らずは、北海道のさらに北、ロシアのアムール川で生まれた白鮭です。夏から秋にアムール川に遡上する前、5月から6月ごろ、北海道の太平洋側で体力をつけるため回遊している若い鮭です。

 秋に産卵のため返ってくる白鮭の秋鮭、またの名を秋味に対して、異なる時に獲れるから、時知らずです。北海道には、鮭の旬が2度来ます。よくぞ我が家の100マイル内に立ち寄ってくれた。鮭の地球規模の大きな営みに感謝します。

おにぎりに、特製ふりかけに

 まずはおにぎりです。出かける時のお弁当のため、いつでも鮭おにぎりが作れるように準備しておきます。半身の時鮭を1回分の使い切りサイズの切り身にして、塩をふり、この食生活の前に新調した冷凍庫で急速冷凍しておきます。

 そのままでは、冷凍であっても味が落ちてしまうので、家庭用真空パックマシーンで個包装しておきます。おにぎりを作る時は、袋に切り込みを入れてレンジで2分加熱すると、ふんわりしっとりの鮭の具になります。

 ふりかけは、もう少し複雑です。時鮭だけで作ると量が減ってもったいないので、ふやかしておいたよしかわファームさんの大豆を刻んで入れボリュームをだします。大豆、時鮭、がごめ昆布をフライパンで炒め、日本酒、甘エビ粉、少しの砂糖で味付けして、パラパラに乾くまで加熱します。

 しっかり乾いてから、乾燥剤と瓶に詰めて冷蔵保存します。これで1週間は十分にもたせられます。

 そして、子供たちの反応です。時鮭おにぎり時鮭ふりかけトッピング。いつもと同じように、静かに口に運び、数秒の沈黙のもぐもぐの後、どんな表情が出るかをソワソワしながら待ちます。

「...おいしい、もっと食べる、おかわり」

 これを待っていました。遠くアムール川から来た時鮭が、我が家の大問題を解決してくれました。大人が食べても美味しいこのおにぎりは、今後も我が家の定番メニューになるはずです。

 しかし、子供たちの次の一言でまた目の前が真っ暗になります。

「ねー、海苔は?」

 課題の芋づる式。宿題の延縄漁業。北海道に海苔はあるのか。この後始まる、水産ウイークへの序章になりました。

材料とレシピ

時鮭おにぎり

  • 米 (道央産ななつぼし 不明)
  • 塩 (岩内星の塩 41mile)
  • 時鮭(日高 83mile)

  1. ご飯を炊く
  2. 時鮭をレンジで加熱する
  3. ラップに塩をふる
  4. ラップの上にご飯を広げる
  5. 真ん中に時鮭を乗せる
  6. 握ってラップをはがす

時鮭と大豆のふりかけ

  • 時鮭 (日高 83mile)
  • 大豆 (留寿都よしかわファーム 30mile)
  • がごめ昆布の芽 (函館 92mile)
  • 日本酒 (新十津川金滴酒造 50mile)
  • 塩 (岩内星の塩 41mile)
  • 甘エビ粉 (留萌 62mile)
  • 砂糖 (伊達北海道糖業 46mile)

  1. 大豆を半日水につけてふやかす
  2. 大豆の皮を取り細かく刻む
  3. 大豆と時鮭を炒めて、ヘラで細かくつぶす
  4. 細かく刻んだがごめ昆布を入れる
  5. 日本酒を入れる
  6. 塩、甘エビ粉、砂糖で濃い目に味付けする
  7. カリカリになるまで焼き、皿に広げ乾かす

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