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【おもてなし】恩師に贈る故郷のスケトウダラ

EPISODE #177

【おもてなし】恩師に贈る故郷のスケトウダラ

2018.4.7

おもてなし

高校の恩師を我が家に招いてのおもてなし。先生の故郷、室蘭の食材が詰まったメニューを作ることにしました。今が旬のスケトウダラや白老牛のスジ肉を料理していきます。先生は喜んでくれるでしょうか。

今回は、先生に故郷の味を楽しんでもらうための、おもてなし前日の準備のお話。

 

武田先生の里帰り

私の母校、神奈川県立鶴見高校は、横浜港を見下ろす小高い丘の上にありました。中学3年まで続けても芽が出なかった野球に見切りをつけ、高校から始めたのがハンドボールでした。華麗なジャンプシュート、激しくぶつかり合う荒々しいディフェンス。「このスポーツはモテる。」直感を信じて入部しました。

そんなハンドボール部の顧問の先生が武田先生でした。指導はOBの大学生に任せて、武田先生はグラウンド脇で焼き芋を焼きながら女子マネージャーとおしゃべりばかりしている、そんな先生でした。愛称は、武じい。まだ40代だった先生を捕まえて、とても失礼な呼び名です。

武田先生が北海道の室蘭出身だというのは、だいぶ後になってから知りました。私が前の会社の転勤で北海道の札幌に来たのが3年前。先生は、里帰りの度に我が家に寄ってくれるようになりました。また先生が我が家に来ます。今回は、100マイル地元食でおもてなしすることにしました。

 

室蘭の海と山の幸を求めて

北海道出身の来客のおもてなしが一番難しい。ありきたりの海鮮やジンギスカンは、当の昔に食べ飽きています。100マイル地元食の魅力は、地元のストーリーが詰まった料理です。それなら、先生の故郷、室蘭の食材でおもてなしできないか。早速、買い出しに出かけました。

室蘭は、太平洋と噴火湾に突き出した、三方を海に囲まれた港町です。だから魚が美味しいのです。室蘭の地元のスーパーマーケットで、室蘭港に揚がったスケトウダラとホタテ、ツブ貝も買うことができました。地魚がたくさん並んでいるスーパーを見ると嬉しくてついつい買い過ぎてしまいます。

スケトウダラ

室蘭で獲れた新鮮なスケトウダラ

他にも、西隣の伊達市にある「伊達市観光物産館」の直売所で、北海道では珍しい下仁田ネギを買いました。今度は、室蘭市の東側にある白老町、牧場直送の白老牛が買える「牛の里」で、スジ肉も買いました。これで、室蘭周辺の海と山の幸をしっかり買うことができました。

 

おもてなしは準備が大事

先生を我が家に招いてのおもてなし。妻と献立を考えて、前日から準備を始めました。白老牛のスジ肉は、圧力鍋でトロトロになるまで下茹でしてから、大根と合わせて煮物にしました。使う味噌はもちろん “オール八雲味噌” です。明日の夕食までに、味がしみてくれるとくれるといいのですが。

室蘭のスケソウダラとホタテは、身体が温まる鍋にすることにしました。いつか、東静内の高槻商店でお土産にもらった、タラをカチカチになるまで干した棒鱈があったのを思い出しました。棒鱈と、スケソウダラを三枚におろした後の骨で出汁を取れば、美味しい鍋になりそうです。

棒鱈

高槻商店でもらった棒鱈

まだ生きているツブ貝は、包丁の背で殻を割って、綺麗に掃除をして下準備しておきます。お刺身で食べるとコリコリで海の香りがして美味しいはずです。それに、以前、寿都町の「すっつ浜直市場」で買った本マスを、丁寧に捌いて冷凍してあります。解凍して刺身にすれば、北海道の郷土料理 “ルイベ” になります。他の料理は、明日また作ることにします。

 

先生に見せたかった我が家の成長

先生と生徒という関係は、いつしか、ハンドボール仲間になり、社会人同士の関係になりました。今では、北海道で生まれ育った大先輩と、そろそろ北海道に住んで4年目になる後輩の関係に落ち着いています。でもやっぱり、私の中で先生という存在が残っていて、どこかで成長した自分を見てもらいたいと思うものです。

先生の故郷の味、慣れ親しんだ地元の味、たぶん家族と食べたはずの温かい味、うまく再現できるでしょうか。我が家が北海道まで来てやっと巡り合えた、地元の食の魅力、家族との食事の大切さ、人生の意味を、おもてなしのメニューを通して伝えたい。棒鱈の出汁を取りながらそんなことを考えていました。

先生に100マイル地元食を振舞うのは明日、テスト前日のように少しだけ緊張していました。

スケトウダラの出汁

棒鱈とスケトウダラのアラで取った出汁

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