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【ストーリー】挑戦最終日に食べるラストディナー

EPISODE #187

【ストーリー】挑戦最終日に食べるラストディナー

2018.4.25

ストーリー

100マイル地元食のチャレンジも残すところあと2か月。最後の日には何を食べたい?ゴールした時に何を想うのかな?妻との会話が増えてきました。我が家が1年間の挑戦で体験したあることを食卓で表現したい。最後の晩餐に向けた2か月が始まりました。

今回は、ラストスパートの始まりを告げる号砲のストーリーです。

 

友人たちの食材だけで作るラストディナー

「この1年間で出会った人たちが作ってくれた食材だけのラストディナー」

私たち夫婦がたどり着いたゴールです。肉に魚、野菜や果物、お米やお酒、塩に味噌。最終日のディナーに使うすべての食材を、この1年で出会った友人から買いたいのです。

現代の何でも買える便利な世の中では、かえって実現するのが難しい。これまでの10カ月の挑戦でわかってきました。現代都会人の目の前には、世界中から集まった食の選択肢が並んでいますが、その中の地元の食材は思ったよりずっと少ないのです。

ましてや、知り合いの生産者さんなんていないし、スーパーの棚に並ぶ食品に友人の気配を感じることなんてありません。かつての私がそうだったように。なぜ、チャレンジ最終日のラストディナーにこんな面倒なルールを選んだのか、そこには我が家が伝えたいメッセージがありました。

地元食ボード

友人たちとの思い出が詰まった地元食ボード

 

孤独から救ってくれた友人たちへの感謝

昨年6月に始めた、自分から100マイル(160.9km)内で作られた食べ物だけで1年間生きるチャレンジ。始めは、マイナスをゼロに戻すために走り回りました。塩を探し砂糖のために山を越え味噌は自分で作るしかありませんでした。我が家は、社会との接点を失ったように孤独にあえいでいました。

ですが、そんな我が家の苦労を見て、応援してくれる友人が徐々に増えていきました。地元の生産者さんを紹介してくれた友人、育てた農作物を売ってくれた友人、地元の魚の素晴らしさを教えてくれた友人。友人が増えるにつれ、手に入る食材が増え、我が家の食卓は豊かになっていきました。

10カ月が経った今、私と妻と3人の子供たちは、元気に健康に、そしてかつて以上に幸せに生きています。地元の友人たちが、私たちの命をつないでくれているのです。私たちの感謝をどうしたら伝えられるか。作ってもらった食材を美味しく料理して食べること、これが私たちらしい伝え方だと思ったのです。

じゃがいもと長男長女

皆さんのおかげでこんなに大きくなりました

 

立ちはだかる3つの課題

ラストディナーのためには、すぐにでも準備を始めないといけません。でも簡単に解決できないこともありそうです。とりあえず課題が3つ思い浮かびました。

課題① 必須食材の生産者にまだ会えていない

まずは塩です。我が家がメインで使っている岩内町の星の塩の生産者にはまだ会えていません。このままでは味の無いディナーになってしまいます。それに、肉と魚。どちらも大好きなお店で買えますが、生産者とは会えていません。ディナーのためには肉と魚の生産者に会う必要があります。

課題② 5月末に買える食材が何かわからない

北海道の5月末はまだ春です。3月に雪が解けて4月頃から農作業が始まるので、野菜が多く出回るのは7月頃。つまり、5月末に買える限られた食材に今から目星を付けておかないといけないのです。メニューを決めるのは手に入る食材がわかってからです。

課題③ やっぱり時間が足りない

もし、ご飯と一汁三菜、デザートまで作ろうと思えば、必要になる食材は20~30品目にはなるはずです。星の塩のようにすでに使っているけど生産者に会えていない食材もあり、必要だけどどう生産者に会うのか見当がつかない食材もあります。時間がかかる加工食品なら、今から仕込まないと。とにかく時間が足りません。

 

ラストディナーは生産者という友人たちと作りたい

1年間の挑戦の最後に、「友人が作ってくれた食材だけでディナーを作る」という、1ステップ高い目標を立てたのには、もう1つの理由があります。私は、チャレンジを通して、日本の土地の豊かさを改めて知りました。北海道はもちろんですが、旅行や仕事で訪れた多くの土地で食材が生産されていました。

果物屋さん

沖縄の牧志公設市場の果物屋さん

もし買い方にこだわらなければ、誰でもある程度、地元食材だけで生きられるかもしれません。都会の中のスーパーやネット通販。便利な買い方はいくらでもあります。でも、我が家が100マイル地元食でたどり着いた楽しみ方は違いました。便利さによって抜け落ちてしまう食べ物の価値があると気が付いたのです。

「食材と一緒に、生産者さんのストーリーを直接受け取ること。」とてもシンプルな方法です。

都会の中で押し寄せては溢れかえる食べ物の情報に覆い隠され、本来の孤独を感じずに済んでいた私たち。100マイル地元食を始めて、自分が本当は孤独だったことに気が付きました。そして私たちを孤独から救い出してくれた友人たち。我が家のストーリーの最後は、そんな友人たちと一緒に作りたい。そう考えたのです。

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