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EPISODE #120
【おもてなし】大好きな野菜を未来に残すために
100マイル地元食ルールで札幌大球を食べ尽くす、シェアキャベツパーティー。メインイベントの餃子作りを終えて、お腹もふくれてきました。でも、まだまだ食べないといけません。
今回は、肉とスープ料理とちょっとしたサプライズ、そして、最後に行き着いた札幌大球が愛され続けるためのアイディアのお話。
シェアキャベツパーティーは、1玉10kgもある巨大キャベツ、札幌大球を、ママ友と子供たちと一緒に食べるパーティーです。手作り餃子の後もキャベツ料理が続きます。札幌大球としては小さめを選びましたが、まだまだ無くなる気配はありません。
次の料理は、ロールキャベツをと考えました。でもせっかくの座布団サイズの葉、ここは豪快に大きく作ってみることにしました。鶏の胸肉をフライパンでさっと焼き色を付けて、キャベツで巻いてオーブンでじっくり蒸し焼きにしました。肉汁を吸ったキャベツがしっとり甘くなります。
続いて、冷凍庫の奥で眠っていた白老牛の筋肉でスープを取ったポトフを作りました。筋肉と香味野菜を圧力鍋で煮ると、それだけで上品な香りのスープになります。そこに、札幌大球の葉、にんじん、リーキ、じゃがいもを入れて煮込みます。
すでに餃子でお腹が7分目ぐらいまで膨れているママ友と子供たち。2品の料理をドンとテーブルに出しました。さすがに食べるペースは落ちてきましたが、みんな喜んで食べてくれています。札幌大球は、火を通すと柔らかくなって甘みが出てきます。素材が持つ底力です。
もうお腹いっぱい。あの手この手で工夫したキャベツ料理と、結局3本開けてしまった美味しいワインで大満足です。ですが、これだけで終わらせないのが、デザート担当の妻です。来てくれた子供たちのために、最後のサプライズを用意していました。
パーティーを開いた11月は、10人いる子供のうち、なぜか4人が誕生日だったのです。ベーキングパウダーを使わないシフォンケーキのバースデーケーキ。ママ友が買ってきてくれたロウソクを刺して、みんなで吹き消しました。
やっと手に入った生クリームと、苫小牧の植物工場でできたフレッシュなイチゴ、そして、冷凍庫に大切にしまっておいた北海道ならではのベリー、ハスカップで作ったフルーツソースを添えたシフォンケーキは、見た目より軽くて、すっとお腹に収まりました。
この日、10kgのキャベツ食べ切ろうと頑張りましたが、料理に使えたのは半分の5kgぐらい。まだまだたくさん残っているキャベツの葉を、ママ友たちがお土産に持って帰ることになりました。でもそこは座布団サイズの葉っぱ。2枚を丸めただけで、ビニール袋はいっぱいになります。
最終的に、札幌大球は1/3も残ってしまいました。パーティーの目標は達成できませんでしたが、楽しく美味しく、このキャベツの魅力と可能性を味わえました。今回の経験から、大人20人は集まらないと、食べ切れないことがわかりました。来年は、我が家ではなくて、どこか大きな場所を借りて再チャレンジをしたいです。
今回のパーティーの主役になった札幌大球は、明治時代に日本にやってきたキャベツの品種が、北海道の気候と消費者のニーズに合わせて、大きくなって定着したものです。かつては、作っている農家さんも多い、北海道では定番野菜でした。
でも、消費者のライフスタイルがこれだけ急速に変わっていく時代。消費者のニーズに合わせて新しい野菜がどんどん登場しては、消えています。このままだと、札幌大球も作る人がいなくなるかもしれません。こんなに面白くて美味しい野菜が食べられなくなるなんてもったいない。
食の選択肢が無数にある現代。歴史が長いだけでは大切にしてもらえません。札幌大球を未来に残すためには、その時代に合った楽しみ方で食べ続けてあげるしかない。私たちがやってみたのは、大きさを活かして友人と一緒に食べること。オシャレな写真を撮ってSNSで発信すること。そして、将来のファンになるかもしれない子供たちに食べてもらうこと。
とりあえず私たちは、シェアキャベツパーティーを心から楽しむことができました。大切なものを守るために、社会を変えるのは大変です。だから、まず自分で楽しんで発信する。それだけで、今の時代は十分だと信じています。
札幌大球の包み焼チキン
札幌大球のポトフ
※以前掲載した、ポトフのレシピをご覧ください。
シフォンケーキ
※以前掲載した、シフォンケーキのレシピをご覧ください。