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EPISODE #119
【おもてなし】ちょっと小さな札幌大球の焼き餃子
札幌大球を使った前菜3種と美味しいワインで、ママ友たちの気持ちをがっちり掴んだところで、シェアキャベツパーティーのメインイベント、餃子作りを始めました。
先日の妻の回に引き続き、今回は旦那目線でのシェアキャベツパーティーの2話目です。
当別町の農家さん、高橋良一さんが作ってくれた巨大な10kgもあるキャベツ、札幌大球を、大人と子供の16人で食べ切るというシェアキャベツパーティー。キャベツがたくさん入れられて、大人と子供が一緒に調理出来て、さらに、子供が大好きなメニューと言えば、餃子しか思いつきませんでした。
でも、今回は100マイル地元食ルールでのホームパーティーです。できあいの材料は範囲外で買えないので、手作りしないといけません。まずは皮からです。作る餃子は子供の口の大きさに合わせて小さめの112個。小麦粉は800g。我が家で一番大きなボウルでも一杯になる量です。
生地をこねていると、おもちゃで遊ぶのに夢中だった子供たちが、ぽつりぽつりと集まりだしました。「粘土みたい!やらせて!」1人が始めると、あっという間にキッチンテーブルの周りは、キラキラした小さな顔で取り囲まれていました。
餃子の具も大量でした。札幌大球の座布団ほどの大きさがある葉を3枚、長ネギ1本、ニラ1束、そして、ひき肉を1kg。112個の餃子を作ったことがないので、具がどれだけ必要なのか見当もつかず、とりあえず多めに作ることにしました。
包丁仕事は、手際のよいお母さん方が担当してくれたおかげで、すぐに具も完成です。それにしても、大人の女子が5人も揃うと、本当によく喋ります。奥手な成人男子が1人、圧倒されながらも、一緒に作業していきます。
巨大な生地の玉を、16等分して、さらに7個の小さな玉に分ければ、112個になります。小さな玉を潰す係、麺棒で延ばす係、そして具を包む係。子供も大人も、役割分担をして餃子を包んでいきます。初めは基本通りの餃子の形に、最後には未来の天才たちがオリジナリティを発揮した形に包まれていきました。
1つのフライパンで一度に焼けるのはだいたい30個です。市販の餃子の皮よりも分厚いので、水をかけてフタをして、長めに蒸し焼きにします。美味しく焼けたか味見をしたかったのですが、ずっと一緒に料理してくれた子供たちの食欲は抑えきれませんでした。
焼き上がった餃子を、子供たち用のテーブルに置きました。たくさんの小さな手と箸が現れて、少し小さめのキツネ色の餃子が取られていきます。
「おいしー」「うますぎるー!」
女の子も男の子も、それぞれ個性的な喜び方です。もう1個、もう1個と食べる内に、あっという間に1皿目が無くなりました。すぐに焼き始めていた2皿目も、テーブルに置くとすぐに無くなってしまいました。子供たちは、喜んでくれたようです。
少し遅れて、ママさんたちと私の分も焼き上がりました。山盛り入れた札幌大球や野菜の優しい甘みと、豚肉のコクが、溢れ出る肉汁に溶け出しています。こねたての皮は、厚さがバラバラですが、もっちりしていて、香ばしさの中にも小麦の風味がしっかり残っています。
食卓について、ほっと一息ついたママさんたちも、子供たちが餃子を取りあって食べているのを横目に見ながら、いつの間にか2本目のワインを楽しんでいます。この日のメイン料理は、大人にとっても成功したようでした。
初めに札幌大球の大きさに驚き、皮を延ばして具を包むのを楽しみ、やっと出来上がった餃子をみんなで食べる。美味しいだけじゃない、何か鮮烈な印象が、子供たちの中に残ったはずです。
札幌で育った子供でも、札幌大球を料理したことがある子はそんなに多くないでしょう。知っているのと、目と手と舌で体感したことがあるのでは、全く違います。いつか大人になっても、札幌大球を身近に感じて、また食べてくれるなら、苦労してパーティーを開いた甲斐があります。
でも、パーティーはまだ終わっていません。まだ、スープに肉料理、そして妻が用意したデザートが残っていました。
札幌大球の焼き餃子(112個分)