農家さんのお宅に向かう途中、前の日から降り続いた雪で、辺りは一面真っ白な世界になっていました。ついにこの季節が来たんだね。降る前は焦っていたけど、いざ降ってしまえば、いつもの愛すべき光景です。

「良一さーん、来たよー。日本一大きいキャベツ1つくださーい。」今回は、札幌大球のお話。

北海道の伝統野菜 札幌大球

ほとんど、北海道に長年住んでいる方しか知らない野菜があります。札幌大球(さっぽろたいきゅう)。日本一大きなキャベツです。重さにして10kg以上、大人が両手で抱えるほどの大きさです。普通のキャベツが1kgぐらいなので、1玉の札幌大球で10倍以上もあります。

もしかすると、北海道民でも若い世代は知らない人が増えてきているかもしれません。それだけ、最近は、作る量も食べられる量も減っている野菜です。明治の北海道の開拓時代、海外から導入されたキャベツが、北海道の気候とニーズに合わせて、大きくなったのがこの品種です。

冬に新鮮な野菜が手に入らなかった時代は、秋に採れる野菜で漬け物をたっぷり漬ける文化がありました。北海道では、キャベツや大根と、身欠きニシン(ニシンの干物)を米麹で漬けた、ニシン漬けが有名です。札幌大球で、樽一杯にニシン漬けを漬ける。そんな光景が、当たり前だった時代があったんでしょう。

漬け物じゃなくて もっとオシャレに

私は漬け物が少し苦手です。新鮮な野菜が食べられるのに、わざわざしなしなになったしょっぱい漬け物を食べる気がしない。率直な想いです。最近の若いもんは!という声も届いてこない現代、各家庭でも漬け物を大量に漬ける風習も薄れつつあるようです。

このままでは、札幌大球は作られなくなってしまう。重たすぎて農家さんも腰が大変です。こんな地元の野菜のピンチを、何とか現代都会人のライフスタイルに合わせる感じで、救ってあげられないかな。そう思ってました。

だったら、長男(6)の幼稚園のママ友たちを集めて、インスタ映えするような、ホームパーティーやっちゃおうか?妻と相談して、夏から考えていたプランを実行に移す時がきました。向かったのは、札幌市が北東に接する当別町(とうべつちょう)の高橋良一さんの畑でした。

異次元サイズの札幌大球

札幌大球の収穫時期は、11月の中旬までです。雪が降る前に収穫して保管されます。妻と私と子供3人が良一さんに会いに行ったのは、収穫が終わった後でした。待ち合わせの時間に、お宅の前に着くと、真っ赤な農作業着の良一さんが出迎えてくれました。

良一さんと札幌大球
良一さんと札幌大球

案内された納屋の中には、目を疑うほどに大きなキャベツがずらりと並んでいました。私たちのように直接買いに来る物好きな客のために、特に大きな大球をとっておいてくれています。ひとつ試しに量りに乗せてみると、13kgを超えてます。

13kgの札幌大球
13kgの札幌大球

さすがにこれは大きすぎます。ホームパーティーでは、みんなで札幌大球を1玉食べ切りたい。なので、ちょうど10kgの小さめの玉を選んでもらいました。10kgを小さく感じるんだから、このキャベツの大きさは異次元です。

地元で愛される札幌大球に戻ってほしくて...

腰に気を付けながら、長男と一緒に車に積み込みました。農作業の大変さが身に染みてわかります。それでも札幌大球を作り続けている良一さん。美味しく残さず食べてあげたい。そう決意を固めながら、窓から手を振って帰路につきました。

10kgの札幌大球を持ち上げる長男
10kgの札幌大球を持ち上げる長男

面白い食材が地元にあるのに、地元の消費者に届いていない。最近、よく感じる残念なことです。特別な用途があった昔なら話は別ですが、今の世の中で、地元で愛されていない食べ物は、遠くの消費者にも愛されることはない。そう思います。

地元で頑張って作っている農家さんがいて、地元の消費者が食べて、愛して、応援している。現代は、こんなストーリーがSNSで遠くの消費者まで伝わって、共感して買ってくれる時代です。だったら、私たちみたいなSNS世代が、楽しく食べて発信してあげなきゃ。

100マイル地元食ルールでの “シェアキャベツパーティー” これがなかなか大変なチャレンジの始まりでした。

雪雲の間からさす光