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EPISODE #116
【お料理】銀聖と旅するハチミツのスモークサーモン
良一さんの畑の日本一大きいキャベツ、札幌大球が主役のホームパーティー。前日から準備を始めていました。この日、作ったのは日高の魅力を詰め込んだ前菜の1品。日高のブランド鮭、銀聖に、ある甘い食材を合わせました。
今回は、日高の銀聖スモークサーモンのお話。
シェアキャベツパーティーには、長男(6)が通う幼稚園のママ友と子供たち参加することになりました。我が家も合わせると、大人が6人、幼児が9人、乳児が1人です。お母さん達にも喜んで欲しかったので、100マイル地元食ルールのちょっと贅沢な前菜を作ることにしました。
選んだのは、白鮭のイメージを覆すほどお刺身が美味しかった、日高のブランド鮭「鮭より旨い鮭」銀聖です。いつもベーコンを作っている道具を使って、スモークサーモンを作ることにしました。そして、味付けに、同じく日高の太田養蜂場のハチミツを使いました。
銀聖を買った魚屋さん、高槻商店さんは、太田養蜂場のお母さんが教えてくれたお店でした。そして、スモークサーモンにするというアイディアは、高槻商店の堀田さんが教えてくれました。この素敵な1日を1つのメニューに詰め込みたい。そう思いついたのでした。
銀聖の切り身の重さを量って、3%の分量の岩内町の海洋深層水で作られた星の塩、塩の半分の量の、伊達市の北海道糖業のほのぼの印のグラニュー糖を、切り身に擦り込んでいきます。大事に大事にキッチンタオルで巻いて、ラップを巻いて、冷蔵庫に入れておきます。
5日ほど寝かせる間に、身の熟成が進み、じわじわと水気も出てきて、身に旨味が濃くなっていきます。5日間経ったら、切り身を軽く水洗いして塩気を抜きます。そしたら、水気を拭きとって、何も巻かずに裸のまま冷蔵庫で乾燥させます。
ネットで探したどのレシピもしっくり来なかったので、燻製ベーコン作りの下準備の工程を、ちょっと短くしたやり方を試してみました。でも、シェアキャベツパーティーはもう翌日まで迫っています。失敗できないプレッシャーでドキドキしてきました。
程よく水気が抜けて色が濃くなった銀聖の切り身に、太田養蜂場のシナの木のハチミツをたっぷり塗ります。ハチミツの甘い香りが加わって、優しい琥珀色が付けば狙い通りの大成功です。燻製作業は、煙がすごいので家庭菜園の前の原っぱでやります。
うっすらと雪が残る原っぱ。気温は5℃ぐらいしかありません。かじかむ手に、はぁーと息を吹きかけて、サクラのスモークウッドに火を点けます。燻製器の中が40~50℃ぐらいになって、ゆっくりと銀聖が温まっていくように、気長に見守ります。
1時間ほど経ったら、今度は温度を50~60℃ぐらいまで上げて、さらに1時間燻製します。この温度だといわゆる「温燻」という製法で、水気が抜けて、身の中まで火が通ります。普通のスモークサーモンは、10℃ぐらいの煙で燻す「冷燻」で、香りは付きますが、中は生のままです。今回は、保存もできるセミドライな状態を目指しました。
気温が低くて、なかなか燻製器の中の温度が上がらず苦労しましたが、2時間でなんとか燻製が終わりました。最初に3枚におろした時の銀聖は、鮮やかな朱色をしていました。下準備で熟成させると、少し透明感が出てきました。そして、燻された今は、食欲を誘う琥珀色をしています。
身がしまって、ずっしりと重量感があります。大切にビニール袋に入れて、ゆっくり温度が下がるように助手席に並べて帰りました。信号で止まる度に気になります。味見をしたい衝動をぐっと堪えます。美味しくできたと信じるしかありません。
キャベツが主役のパーティーは明日です。この自信作のスモークサーモンと札幌大球をどう組み合わせようか、考えるのが楽しいです。大事なパーティーのトップバッターになる大事な前菜。日高の名店のコラボは、成功するのでしょうか。