この日は、ハチミツを買いに太平洋に面した新ひだか町を目指しました。同じ場所に買い物に行くなら、新たな出会いを期待して寄り道をする。それが私の中の決まりごとになりつつありました。

シシャモで有名なむかわ町、ハチミツ屋さんがある新ひだか町。わざわざ行くからこその発見があります。今回は、ハチミツと魚のお買い物の話。

ハチミツついでに魚も買いに行く

ハチミツがそろそろ無くなりそう。毎朝、自家製ヨーグルトにハチミツをかけて食べている、私と妻にとって、これは一大事です。北海道では、多くのメーカーが北海道産ハチミツを販売していますが、採れた町の名前まではっきりわかるハチミツは多くありません。

一度買いに行っただけでファンになった、新ひだか町の太田養蜂場。札幌から南東に車で2時間もかかります。せっかく行くなら、他にも買い物してきたい。新ひだか町は、海に面した町です。それなら決まっています。旨い魚を買いたい。

思い出したのは、父の仕事仲間の前田さんの言葉でした。前田さんは、我が家の100マイル地元食の挑戦を応援してくれています。そして、新ひだか町の手前のむかわ町のご出身です。「ぜひ、むかわ町の魚を食べて欲しい。」もう一つ、目的ができました。

むかわ町のシシャモにつけるもの

むかわ町と言えば、シシャモの町として知られています。普段、スーパーに並ぶ輸入品の樺太シシャモ(カペリン)ではなく、北海道の太平洋側だけでしか獲れない、貴重な本物のシシャモです。しかも、漁期は、産卵のために帰ってくる10月から11月のほんの一瞬、今だけです。

ぽぽんた市場
直売所 ぽぽんた市場

ぽぽんた市場という地元の漁師さんや農家さんが運営する直売所に入ると、シシャモがずらりと並んでいました。ですが、すべて口に串が通された干物です。嫌な予感がして、店員さんに聞いてみました。

シシャモの干物
シシャモの干物

「シシャモは傷みやすいから、塩味を付けて干物にするんですよ。」

またも塩問題に直面しました。“塩”とだけ言われた時は、まず地元産の塩ではありません。慣れているつもりでした。でも、ここまで来て食べられないなんて。でも、落胆する私を喜ばせてくれる奇跡のような商品が、その先にありました。

華の潮
むかわ沖の海水で作った”華の潮”

北海道むかわ沖10kmの海水で作った海塩、“華の潮”。我が家が見つけた、4番目の100マイル内の塩でした。そして、“華の潮”で作った、浜干し柳葉魚(シシャモ)まで。どちらも、地元の吉村燻製工房さんの商品です。

浜干し柳葉魚
吉村燻製工房の浜干し柳葉魚

まるで、我が家の挑戦を応援して作ってくれたような商品です。迷わず買いました。

旅する養蜂家のハチミツ

むかわ町から、太田養蜂場がある新ひだか町静内までは、まだ1時間かかります。途中の、道の駅サラブレッドロード新冠(にいかっぷ)に立ち寄って、日高昆布をたっぷり買うと、目的地のハチミツ屋さんはすぐそこでした。

太田養蜂場
旅する養蜂家 太田養蜂場

以前も、簡単にご紹介しましたが、太田養蜂場さんは、旅する養蜂家です。お店番をされていたお母さんにお聞きすると、すでに蜂と息子さんは、2週間前に花の季節が過ぎた北海道を離れ、鹿児島に旅立たれた後でした。

暖かい鹿児島で蜜蜂を育て、開花に合わせて鳥取、秋田で蜂の巣を大きくしつつ、蜜を集めてきます。そして、北海道の遅い春に合わせてまた戻ってくる。蜂も人も働き者です。我が家が買えるのは、今年の夏に新ひだか町で採取された蜂蜜だけです。蜂と養蜂家の集大成を味わえる。だからこのお店のハチミツが大好きなんです。

新ひだか町のハチミツ
新ひだか町で採れたハチミツ
地元の人しか知らない地元のお店

目的のハチミツはたっぷり買うことができました。ですが、まだちょっと物足りない気がしていました。同じむかわの海から生まれたシシャモと塩で作られた、浜干し柳葉魚は買えましたが、期待していたより魚の収穫は多くありません。

せっかく太平洋まで出てきたのだから、もっと魚を買って帰りたい。いっぱいハチミツについて教えてくれた太田養蜂場のお母さんに、近くに地元の鮮魚が買える魚屋さんがないか聞いてみました。お母さんの答えはすぐに返ってきました。「あるよ。隣町だけどね。」

漁業が盛んな北海道であっても、地元の鮮魚を置いている魚屋さんは少ない。身に染みて分かっている私は、お母さんの即答に特別な予感を抱かずにはいられませんでした。最終目的地を、1つ先の町、東静内に変更しました。この決断が、運命的な出会いをもたらすのでした。