©100マイル地元食
EPISODE #88
【食材調達】渋滞の先の壮瞥りんご
両親が我が家に来て2日目。空は秋晴れで絶好の行楽日和でした。峠を越えて壮瞥(そうべつ)へ、りんご狩りに行くことしました。紅葉を見ながらの素敵なドライブになるはずでした。
でも、車が全然進まない。今回は、大渋滞に遭遇した末にたどり着いた、りんご果樹園のお話。
横浜から来ている両親は、私と妻に会いに来たのはついでで、ほぼ完全に孫目当てです。できるだけ、孫と、おじいちゃんおばあちゃんが一緒に触れあえて楽しめる行き先を考えていました。長男(6)の唯一食べられる果物がりんご。それなら、みんなでりんご狩りに行こう。
以前、りんごだけで作ったジャムが買えた、壮瞥のくだもの農家浜田園に行くことにします。壮瞥は、いつも通っている、札幌から南西方向にある中山峠を越えるルートで2時間ほどです。季節は秋。中山峠は紅葉の名所としても知られています。
今回、両親も100マイル地元食ルールで食事をします。お昼ご飯は外食できないので、全員分のおにぎりを作りました。やっと出発できたのは10時過ぎ。出遅れました。中山峠に至る街中の道。車が多いどころか、なかなか前に進みません。普段はほとんど発生しない渋滞でした。
3連休と紅葉の見ごろという1年に1度の奇跡の条件で発生した渋滞でした。交通情報を見ると、峠の手前までで70分かかると出ています。このままでは、壮瞥に着くころには暗くなってしまいます。
両親は、今回の機会を逃せば、おそらく二度と壮瞥にりんご狩りに行くことはできないでしょう。覚悟を決めて、来た道を戻ります。ぐるりと東に回り込んで、高速道路で向かうことにしました。
引き返し始めてから2時間半、やっとのことでたどり着いた壮瞥は、町全体がりんごの恵みで賑わっています。国道453号線の両側に並ぶ観光果樹園は、どこも車でいっぱい。浜田園も例外ではなく、果物狩りを目当てにたくさんの人が集まっていました。
受付で入園料を払うと、果物狩りのルール説明をしてくれます。園内にある果物は何でも時間無制限の食べ放題です。収穫した果物を持って帰るには、追加料金を払わないとけません。今の季節は、りんごとぶどうが収穫できます。
広い園内の一番奥に、りんごエリアがありました。大きく真っ赤な実が鈴なりになったりんごの木々が、昭和新山を望む丘の上に広がっています。踏み入れるだけでもう甘い匂いがしてくる。こうなると、子供たちは止まりません。
以前、梅狩りで果物狩りの楽しさを知っている長男(6)と長女(3)は、自分からりんごに手を伸ばして、躊躇なくもいでいきます。品種も熟しているかもお構いなしです。自らの感性に従って走って行っては、りんごをもいで戻ってくる。大人が持つ袋に入れたら、また走り出す。両親は、北の大地でたくましく育っている孫に、驚きと喜びで大はしゃぎです。
園内には、一瞬でりんごが切れるカッターが置いてあり、切ってすぐ食べられます。鮮烈な香りとシャキシャキの歯ごたえは、りんごの新鮮さを感じさせます。そして、数カ月ぶりに味わう甘さ。いいえ、今まで味わったことがないほどの美味しさです
ですが、長いドライブの間に、待ちきれずにたっぷりとおにぎりとおやつを食べてしまった大人たち。3玉ぐらいですぐにお腹いっぱいになりました。持ち帰りは別料金だと言っても子供たちは聞く耳を持たず、結局、箱いっぱいのりんごを持ち帰ることになりました。
隣のぶどう畑で少しだけ味見をして、りんごのお金を払ったら帰路につきます。両親のわがままで途中の白老で白老牛を買い込み、急いで帰ります。2時間の運転の後で、夜は100マイル地元食ルールの料理を作らないといけません。残り半日は体力勝負になりました。