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EPISODE #101
【お料理】畑の魅力を詰め込んだ新ごぼう一本揚げ
留寿都村の吉川農場のごぼう収穫を見学させてもらっただけでなく、山盛りのごぼうのお土産までいただきました。初めて食べる新ごぼうで、思い切った料理に挑戦しました。
畑の魅力を丸ごと一本に閉じ込めたシンプル料理。今回は、新ごぼうの一本揚げのお話。
じゃがいも、長いも、大豆といつもお世話になっている留寿都のよしかわファームさん。そのお兄さんの吉川農場さんのごぼう収穫は、夕日に照らされて神秘的な光景でした。帰りにもらった抱えきれないほどの新ごぼう。どう食べようか悩みます。
でも、普段からごぼうは頻繁に食べる野菜ではなかった。頭に浮かんだのは、大衆居酒屋の定番メニュー、ごぼうチップスでした。あの料理なら、子供たちも食べられるから、ちょうど良いかもしれません。
一般的なごぼうチップスは、ごぼうの皮を剥き、縦に薄くスライスして、アク抜きのために水にさらしてから、油でカリッと揚げるとできあがりです。でも、この方法だと、普通のごぼうでも、みずみずしい新ごぼうでもあまり差は出ないような気がしていました。
せっかくなら、普段できないような思い切ったアレンジをしてみたい。そういえば、新ごぼうは、水気たっぷりで柔らかいと教えてもらっていました。それなら、スライスせずに1本まるごと揚げても食べられるのではないか、そう思いつきました。
一番太いところで、直径3cmもある太いごぼうです。これが普通のごぼうじゃ、筋張って硬くて、とてもじゃないけど食べられないでしょう。ここは吉川兄さんのごぼうに賭けてみることにしました。
皮を剥くところまでは同じ、でも、今回は鍋に入るギリギリの長さ、20cmに切っていきます。いちおう水にさらしますが、薄く切っていないのでアクは抜けなさそうです。一発勝負で揚げてみて、アクが強くてエグかったらどうしましょう。少し不安です。
1mはあった立派なごぼう。5本に切って、やっと鍋の油に収まってくれました。170℃の油でじっくりゆっくり揚げていきます。この太さのごぼうを揚げるのは大変です。ごぼうをころころ転がしながら10分が経ちました。まだかなあと思いつつ、竹串を刺してみます。
すっ...
これがごぼうだとは信じられないほどに柔らかくなっています。よし、狙い通りと喜びながら、油からあげました。シンプルに塩だけで振って、我が家で一番細長い皿に盛ってみました。
太い、そして長い。丸太にしか見えません。我慢できずに、熱々のごぼう一本揚げを頬張ってみます。
カリ...ホク...
外側はカリッと揚がっていますが、中はホクホクふんわりとしています。ごぼうと言うより、お芋のような食感です。噛むほどに旨味たっぷりのエキスがあふれ出します。間違いなく生まれて初めて食べるごぼう料理でした。
外側がカリッと揚がったことで、水分が閉じ込められて、中はしっとりとしています。新ごぼうは、つい最近まで土の中で生長していただけあって、まだ水分を多く含んでいます。それは、留寿都の丘陵に降った空からの恵みだった水です。
香りも普通のごぼうと全く違います。決して泥臭くはないのですが、確かに土の匂いを感じます。それも嫌な臭いではなく、どこか清々しい爽やかな香りです。ルスツの畑を丸ごと口に押し込んだような、ご馳走ができました。これは何本でも食べられます。
ですが、1つだけ注意が必要です。食物繊維たっぷりのごぼうを、美味しくて食べ過ぎたことで、翌日は一日中、ガスが止まりません。お通じもまた想像以上です。秋の実りで太った身体を、また秋の実りでスッキリさせる。今しか食べられない新ごぼうの一本揚げ。これは真似してほしい食べ方です。