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娘はうどんがお好き

EPISODE #8

娘はうどんがお好き

2017.6.13

お料理,シーズン1

 ある朝食の時、もうすぐ3歳の娘がふいに、うどんが食べたいと泣き出しました。これまで、麺が好きな娘は、うどんやラーメンを作ってとよく注文してきましたが、前と今では難易度が違います。ですが、ダメと言って我慢させる訳にはいきません。

 100マイル地元食へのチャレンジは、私たち夫婦の想いで決めたことです。子供たちは、何も理解しないまま大変な食生活に参加しています。前のご飯の方が良かったと感じさせてしまえば、新しい食生活を通じて我が家みんなで幸せになるというゴールが揺らいでしまいます。

娘には、朝ご飯には間に合わないから、昼ご飯まで待ってねと納得してもらいます。残された時間は4時間。ぎりぎりの挑戦です。

麺は避けては通れないメニュー

 我が家は、娘だけでなく、私も妻も、息子も麺類が好きです。私は、ラーメンとそば、妻はラーメンとパスタ、子供たちは断然うどん派です。

 しかし、外食での麺料理は、ほぼ間違いなく100マイル範囲外の食材が使われているので食べられません。スーパーで売っている生麺や乾麺も、小麦粉は範囲内でも、塩や油、かん水や卵など、範囲外の物が入っていて買えません。

 これからは、麺は我が家で自作しないといけません。そんな入門者にとって、うどんは、小麦粉と塩だけで作れるありがたいメニューです。

 薄力粉と強力粉を半々で混ぜ、中力粉にします。ビニール袋の中で塩水を混ぜて生地にしていきます。まとまったら2時間寝かせ、今度は足で踏んで延ばしては折り畳み、こねていきます。この作業でうどんにコシが出ます。最後はまた丸めて30分寝かせる。これだけですでに3時間です。

澄んだ塩味の時鮭つゆ

 東北出身で関東育ちの私にとって、うどんのつゆは、醤油とみりんの濃い味と濃い色、鰹ダシの強い香りが当たり前でした。しかし、例のごとく、今の我が家には、醤油もみりんも、砂糖も鰹節もありません。ある食材でどうするか、パズルのような料理が始まります。

 まず、我が家から南側にある太平洋の日高昆布でダシをとります。ここまでは普通ですが、鰹節に代わる魚介類のダシが欲しい。冷凍庫をあさっていると、今が旬の時鮭の頭とカマをとっておいたのを思い出しました。これなら良いダシが出そうです。

 時鮭に熱湯をかけて汚れを落としてから、昆布ダシの中でじっくり煮出します。30分ほど経って味見すると、うま味は感じるものの、少し弱い。ガツンとくる鰹ダシと比べると優しく控えめな味わいです。慌てて、良いダシが出るらしい、南幌町のたもぎ茸も入れてみます。

 そろそろ、寝かせていたうどんが出来上がるころです。このダシで勝負するしかない。塩と酒で味を調えて、青ネギを加え、つゆを完成させます。

あっさり極太うどんへの娘の評価

 足と綿棒で延ばした生地を包丁で5㎜幅に切っていきます。見た目は見事なうどんです。5㎜だから細目のうどんで丁度良いかなと思いきや、全然違いました。うどんの生麺は、茹でると太さが2倍になります。冷水でしめながら味見すると、しっかりしたコシ。小麦の香りを感じます。

 できあがっていた時鮭つゆをかけ、三つ葉をのせて完成です。黄金色で透き通ったほのかなうま味のつゆ。極太うどんとの組み合わせはどうか。自信がありませんでした。

 妻とお義母さんの評価は上々です。最後に加えた、たもぎ茸が効いたのか、上品で複雑な味わいのつゆ。その分、うどんの小麦の香りが活きてバランスが良い。

 娘はどうか、4時間かけて作ったうどんを食べてもらう緊張の一瞬です。一口食べて、「...いつもと違う」と食べるのを止めてしまいました。落胆しながらも、納得します。確かに美味しいうどんですが、醤油味のうどんとは違います。私も醤油味のうどんが無性に食べたくなりました。

 早くも発酵食品にも挑戦する時がきました。1歩踏み出しては新たなテーマに突き当たる。そんな100マイル地元食の日常です。

材料とレシピ

時鮭の塩味うどん

  • 薄力粉125g(厚真 35mile)
  • 強力粉125g(岩見沢 12mile)
  • 星の塩13g (岩内 41mile)
  • 水120㏄  (水道水 不明)
  • 昆布  (浦河 96mile)
  • 時鮭  (太平洋 不明)
  • たもぎ茸(南幌 16mile)
  • 日本酒 (新十津川金滴酒造 50mile)
  • 青ネギ (道央 不明)
  • 三つ葉 (道央 不明)

  1. 薄力粉と強力粉、食塩水をビニール袋の中で混ぜる
  2. 丸めて袋のまま2時間寝かせる
  3. ビニール袋を重ね、足で踏んで延ばし折り返すのを、生地が耳たぶの硬さになるまで繰り返す。
  4. 再び丸めて30分寝かせる
  5. 足延ばした後、麺棒で5㎜厚まで延ばし、5㎜幅に切る
  6. たっぷりのお湯で15分前後茹で、冷水でしめる

  1. 昆布を水につけておく
  2. 時鮭のアラに熱湯をかけ流水で汚れをとる
  3. 時鮭を昆布が入った水に入れ30分煮出す
  4. ヘラで身をつぶし味を出してから濾してダシにする
  5. ダシにたもぎ茸をちぎって入れ弱火で10分煮出す
  6. 塩と酒で味付けし、青ネギを刻んで入れる

器にうどんを入れ、つゆをかけて、三つ葉を乗せる

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