©100マイル地元食
EPISODE #32
ペポナッツのラングドシャ
北海道-道央エリア
7月
農家さんとの出会い
我が家のおやつ不足は、今も重大な問題です。それは、驚異の食欲をほこる子供たちが作ったそばから食べてしまうから。
最近は、産後の休養から復帰した妻が作ってくれるようになりました。おやつ作りは妻の担当。100マイル地元食を始めた直後に比べると、今では我が家は少しだけ平和になりました。
今回は、妻の出産直後、我が家に全くおやつが無い時に、私が初めて作ったお菓子のお話。そして、ある若き生産者さんとの約束のお話。
突然ですがフランス語「Le Pepo sur la langue de chat.(ル・ペポ・シュ・ラ・ラング・ド・シャ)」はどんな意味でしょうか?直訳すれば「猫の舌の上のペポ」、ペポが乗ったラング・ド・シャという意味です。フランス語は全くわかりませんので、フランス語に詳しい方、チェックお願いします。
ラング・ド・シャは、とっても有名な焼き菓子です。形が猫の舌のようで、表面がザラザラしているから、こんな名前がついたそうです。北海道民にとっては、馴染み深い味わいです。それは、北海道を代表するお菓子、白い恋人のクッキーもラング・ド・シャだから。
そして、お菓子をほとんど作ったことが無い私が、これを選んだのには理由があります。材料は、卵白、小麦粉、バターと砂糖だけ。しかも分量は全部同量でOKと、とても簡単だからです。子供が寝た後で、夜な夜なおじさんだけでも作れるのは助かります。
では、上に乗せるペポとはなんでしょうか。これは、ペポカボチャの種をローストして作られたペポナッツのことです。カリッとした歯応えと、香ばしい風味。アーモンドやピスタチオに近いですが、独特な美味しさのペポナッツです。
我が家のペポナッツは、6月初めの100マイル地元食への移行期間前から、大切にとっておいたものです。産地は、道北の大都市旭川のさらに北、和寒町、我が家から88マイルです。ここに和寒シーズという会社があります。
和寒町でとれたペポカボチャから種をとり、ローストしてペポナッツとして販売しています。代表の平崎さん、そして営業部長の佐藤さん。皆さん、30代半ばの同年代です。前の仕事をしていた時、同じグループで働いていた方のご紹介で知り合うことができました。
それからすぐ4人で飲み会を開き、これまたすぐ意気投合。将来ビッグになって外車を乗り回そうと、夢を語り合いました。こんな熱い想いがこもったナッツだなんて、家族は誰も知りません。
全ての分量は、玉子の白身の量で決まります。M2個だと、白身はだいたい70gです。そしたら薄力粉も同量の70g量ってふるっておきます。バターも砂糖も同じ量で良いのですが、バターは少し高いし、砂糖は甘さ控えめにしたいので、10%減で63gにします。
我が家のバターは、12マイルととっても近くにある町村農場の生乳だけで作られたバターです。プレーンのバターでも十分に美味しいですが、風味豊かな発酵バターもあります。シンプルなレシピのラング・ド・シャは、これで引き立ちます。
常温にして柔らかくなったバターを混ぜ、砂糖、白身、薄力粉の順に、ダマにならないように混ぜていきます。できた生地は絞り袋を使って、オーブンの角皿に敷いたクッキングシートの上に直径2㎝ぐらいに並べます。そこに乗せるのはあのペポナッツ。1粒ずつ大事に使います。80℃に予熱したオーブンで、12分ほど焼けば完成です。
オーブンを開けると、発酵バターの香りが広がります。こどものために作ったのですが、たまらずつまみ食いしてしまいます。しっとりした熱々のラング・ド・シャ。ペポナッツがパリパリで良いアクセントになっています。もう1枚、また1枚。止まりません。私も甘いものに飢えていました。
玉子の白身2個分を基準に作ると、だいたい100枚ぐらい焼けます。冷ましてから乾燥剤を入れた瓶に入れて保存します。翌朝、子供たちに食べてもらいました。冷めるとサクサクの食感です。おいしー!期待していた反応です。この日から、ラング・ド・シャは、我が家の常備おかしになりました。
そして、和寒町のペポかぼちゃ畑に、必ず平崎と佐藤さんに会いに行く。そう誓うのでした。
ル・ペポ・シュ・ラ・ラング・ド・シャ(100枚)