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旅先は食べたい物で決める

EPISODE #43

旅先は食べたい物で決める

2017.8.10

十勝旅行,シーズン1

 我が家がある北海道は本当に大きい。100マイル地元食ルールでは、自分から100マイル範囲内の食べ物しか食べられません。

この範囲、どのぐらいの広さかと言うと、前に住んでいた横浜からだと、関東地方と山梨県のほぼ全てと、長野県と静岡県の半分ぐらいまで入ってしまうほど広いのです。だけど、この広大な100マイル範囲でも北海道は収まりません。

 入らないなら自分たちから行けばいい。今回は、そんな思いつきから始まった十勝旅行ウィークの第1話です。

北海道のどこに行くか家族会議です

 100マイル地元食の融通が利くところは、家から100マイルではなく、自分から100マイルだということです。つまり、自分が動けば、100マイル範囲も一緒に付いて来てくれます。だから、食べたい物に近づけば、何でも食べられるのです。

 ここ札幌に住んでいると、100マイル範囲は、南が函館市の少し先、北が旭川市の先の剣淵町、そして東は十勝平野の半分だけ、帯広市までしか入りません。妻といろいろと旅の行き先について話していると、子供たちが集まってきて、自然と家族会議の始まりです。

 行き先よりも先に、範囲外の何を食べたいか考えました。夏のこの時期、魚はあまり獲れません。海水温が上がって、魚も夏バテなのか、岸に寄り着かないからです。だったら、狙う食べ物は陸の幸でしょう。

十勝平野は日本の食糧庫

 ずっと前から気になっている地域がありました。それは東の十勝平野です。札幌から東に進み、日高山脈を越えた先に広がる広大なエリア。山に囲まれた広い平野あり、十勝川水系が育んだ豊かな土があり、個性豊かな20市町村がぎゅっと詰まった地域です。

 驚くべきことに、十勝の食料自給率は1,100%。日本全体が39%、北海道全部でも191%ですので、十勝の数字はもはやよくわかりません。この自給率はカロリーベースなので、十勝に住む人たちが摂っているカロリーの、11倍も多く食料生産して外に売っているということです。

 あ、十勝に行ったらハイカロリーな物が食べられるかもしれない...研ぎ澄まされた感性から生まれる、安直なインスピレーションに身を委ね、旅の行き先に十勝を選びました。旨い肉が食いたい。でも、100マイル地元食旅行は、ここからが大変なのです。

旅先での100マイル生活はまたゼロからの始まり

 旅行中も100マイル地元食を継続するには、越えなきゃいけないハードルが山ほどあります。3泊4日の間、子供たちも健康を損なわず、笑顔で帰ってくるため、何よりも毎食ご飯が食べられるかどうかが最重要です。考え方は次の3つのステップです。

  1. 旅先の宿泊場所で料理ができるか
  2. 家で食べている食材を旅先に持って行って食べられるか
  3. 持って行けないものを旅先で調達できるか

ホテル選びはキッチンを見てから

 まず、1つめのハードルです。旅先で料理ができるかどうか。100マイル地元食を始めてから、まだ食べてもいい外食店に出会っていません。材料が多く、また細かい全ての食材まで原産地が書かれていない外食メニューは、食べる事ができません。

 だったら、自分たちで作るしかない。でも旅先ではそれはかなり大変です。まず探したのが、キッチンが充実したコテージやコンドミニアムです。普段なら野外でキャンプしちゃいますが、まだ2か月ちょっとの次男(0)がいることを思い出しました。

 ほんとに少ない選択肢の中から、条件に合ったところが見つかりました。中札内村にある農村休暇村フェーリエンドルフのコテージです。2口のコンロに冷蔵庫、調理器具や食器まで付いてきます。ここならなんとかなりそうです。

食材?うちから持って行ける物あるでしょ?

 次に考えたのが、我が家から持って行ける食材があるかどうか。全ての食材を探していたら、すぐに3泊4日の旅行が終わってしまいます。行き先の中札内村は、札幌の我が家から90マイル(150㎞)ほど東南東に行ったところです。

 つまり、元の100マイル範囲の東側がかなり重なっているんです。深川市の米油に、苫小牧市の生のハスカップ、平取町のトマトピューレ...あれれ、ぜんぜん無い。これはまずいのかな。

 こうなったら、新たに調達できるか考えるしかありません。十勝は日本の食糧庫。なんとかなるだろう。旅のプランをウキウキしながら考えて浮足立っている私たちは、この後訪れる巨大な困難の気配さえ感じていませんでした。

調理器具と宿題を車に積んで出発

 出発の朝、新たに愛車の上にセットしたルーフトップキャリアに、調理器具が入った箱をいくつも積みます。食材を買ったら入れる、空っぽのクーラーボックスもです。東の中札内村までは車で3時間。途中、ちょっとだけ北に逸れて富良野で買い出しです。

 十勝は、冷涼な地域で、米があまり作れません。ならば米は途中で買っていくしかないのです。富良野はギリギリで日本海側の米が栽培可能な地域に入ってます。この日も大盛況のフラノマルシェで、富良野産ななつぼしの無洗米を買いました。

 他にも念のため、豚肩肉の1kgはある塊、小麦粉、トマトジュースと最低限の野菜も買っておきます。もし、十勝で全く何も食材が手に入らなかったとしても、飢えはしないでしょう。少しだけほっとして、今度こそ中札内村を目指しました。

ゼロからスタートだと やっぱり足りないもの

 旅はまだ始まったばかりですが、一番心配だったことがありました。食べてもいい食材が手元からほとんど消えてしまった時、一番困る食材があります。今年の6月1日に100マイル地元食を始めた時の苦い思い出が蘇ります。今回の十勝旅行でも、あいつが無ければ大変です。

次回、十勝旅行ウィーク第2話は、悪夢再びのしょっぱい話に続きます。

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