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EPISODE #151
【沖縄旅行】身近に感じた島野菜の味
食材を買うばかりじゃなくて、もっと食べないと余らせてしまう。5日間という長いようで短い沖縄旅行で、買った食材は全て食べきらないといけません。沖縄の野菜の旬はまさに今、冬のこの時期。どれも個性的な野菜ばかりでした。
今回は、沖縄をより近くに感じた野菜メニュー2皿のお話です。
3日目の夕飯は子供たちのリクエストで、再び “やんばる島豚あぐー” の塩焼きになりました。しっかりとした存在感がある豚肉を海水塩でシンプルに焼いただけ。ご馳走として十分でありながら毎日食べても飽きない、食べれば食べるほどにハマる味です。
でも、沖縄の地元の味の買い物を満喫したことで、冷蔵庫にはたっぷりと野菜が詰まっていました。これはもっと料理していかないと帰るまでに食べ切れないのでは?そんな不安が頭をよぎるほどに、冬の沖縄は食材の宝庫でした。
イモやカボチャ以外の野菜はめったに食べない子供たちにはお肉を食べてもらうことにして、大人だけのための野菜メニューを2つ作ることにしました。沖縄の旬の食材をふんだんに使った料理。まさにこの沖縄旅行を象徴する2皿になりました。
今帰仁の駅そーれで青パパイヤが買えました。作りたくなるのはやっぱりパパイヤチャンプルーです。でも、豆腐が入らないと “チャンプルー” とは呼べないらしいので、出汁で炒め煮ににする “イリチ―” という料理にします。第一牧志公設市場の横の古本屋さんで、「沖縄の食材・料理」(中本玲子・小畑耕行 2006 沖縄教販)を買っておいて良かった。
フライパンで、ミートショップがなはでタダでもらった油かすと、しょうがのみじん切りを温めます。じわーと豚の脂がしみ出してきたら、“やんばる島豚あぐー” を入れて五分ぐらい火を通します。そこに、皮を剥いて細切りにした青パパイヤと青ネギを入れます。
鰹節と昆布の出汁を使いたいところですが地元の物がなかったので、牛ソーキ(あばら肉)のゆで汁を入れて、旨味を煮含めていきます。あれ?でも、本に載ってるパパイヤの果肉は白いのに、これは黄色いな。まあいいかと、最後に溶き卵を入れたら、天然塩 “ぬちまーす” と黒糖で味を調えて完成です。
次に作ったのはサラダ。でもただのサラダじゃありません。新鮮な島野菜と、沖縄名物の海ぶどう、そして、この旅行の何よりの収穫になった「The Cheese Shop」のチーズを使った、とびきりのサラダです。ドレッシングは、シークヮーサー果汁で作ります。
サンエーで買ったレタス、トマト、キュウリ、今帰仁の駅そーれで買ったイタリアンチコリーを切ってお皿に盛ります。次に、第一牧志公設市場で買った海ぶどうをのせます。観光客向けの形の良いものではなく、不揃いなB級品ですが我が家には十分です。
それに合わせたのは、南城市のバジルとガーリックの風味が溢れるチーズ “Ozato Basil” です。ちぎって上から散りばめました。シークヮーサー果汁の酸味と、油かすから取った油のコク、“ぬちまーす” の塩味が効いたドレッシングをかけて完成です。
パパヤ―イリチ―(パパイヤの炒め煮)から食べてみます。豚の脂と牛ソーキの旨味が、パパイヤと玉子にしみ込んでいて、海水塩と黒糖のシンプルな味付けですが、深みがあります。...でもちょっと甘すぎる。パパイヤの果肉が黄色かったのは、熟していたからのようです。せっかく甘くなってたなら、果物として食べたかった。
次にサラダです。島野菜は香りが強く、レタスやキュウリであっても個性を感じます。しっかりとした野菜たちの土台に乗る、チーズのねっとりとしたコクと、海ぶどうの歯応えと塩気。シークヮーサーのドレッシングが、この個性派軍団を控えめにまとめてくれています。
初めて食べる沖縄の地元食材の味。でも、不思議と違和感なく受け入れられます。むしろ心地良い食べ慣れた味のように心に染み込んでくる感覚です。素材の持ち味を活かしシンプルな味付けで食べる料理の美味しさは、全国どこでも同じように人に優しい味なのかもしれません。
沖縄での生活はまだほんの3日間だけ。ですが、我が家が “普通の観光客” よりも深くこの土地に感情移入ができていることは確かです。100マイル地元食ルールで走り回った3日間が、この土地を自分が生まれ育った土地のように感じさせてくれている。そう思わせてくれた2皿の野菜料理でした。
パパヤーイリチー(4人分)