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初の100マイルパーティー

EPISODE #42

初の100マイルパーティー

2017.8.10

おもてなし,シーズン1

 新しいチャレンジを始めたいと考えました。家族だけで100マイル地元食を実践するだけではなく、友人を我が家に招いて、一緒に体験してもらうことです。

100マイル地元食が目指す、「地産地消」をもっと楽しく食生活に入り込んだライフスタイルを広めるには、賛同してくれる人たちが必要です。そこにはちょっとだけ自信がありました。だって、今、我が家は本当に幸せな食生活を送っているからです。今回は、ホームパーティーの話です。

調達したワインを持って、さあいらっしゃい!

 この日の昼下がり、藤野ワイナリーに集まった友人の蝦名さん、そのご友人の谷口さんと井上さん。無事にワインを調達できて、早く飲みたくてしょうがありません。我が家に着いたのは16時頃でした。

 夕飯を食べ始めるにはちょっと早い時間。まずは改めて自己紹介からです。蝦名さんは、一昨年ごろ、札幌に来てすぐに別の友人にご紹介いただきました。農林水産業関連の公務員をされています。とにかくユニークな方。無邪気な言い方をすれば、まったくお役人さんぽくない方です。

 谷口さんはテレビ局にお勤めの方でした。取材してくれてるのかな、少し緊張感が増し、口数も増えます。北海道のご出身で地元産地や食べ物の知識がものすごい。道内の農家はだいたい友達と言っても言い過ぎではありません。そして、谷口さんと井上さんは、フードアナリストという資格つながりです。

 私にとって、井上さんが一番謎でした。製紙業界にお勤めながら、食べ物への興味と掘り下げ方がすごい。先の資格だけでなく、調理師、唎酒師(ききざけし)、1級だしソムリエ...名刺には他にもびっしり食関連の資格が書かれています。あ、今日の料理は大変になる。さらに緊張感が増します。

ついに始まる緊張の時

 妻が作ってくれたバジル風味クラッカーに、水切りヨーグルトとハスカップジャムの酸味が合います。蝦名さんのお土産の白ワインNISEKO yoteiを引き立てます。

 ひとしきり会話で盛り上がったら、良い時間です。下ごしらえはしてあるものの、仕上げてお出ししないといけません。私と妻がキッチンに立つ、ちょっとだけ気まずい時間は、長男(6)と娘(3)の登場。愛嬌だけで時間をつないでもらいます。

おもてなしメニューの前菜はお肉とサラダ

 まず、手作りのソーセージ(という名前である本に書いてあった料理)をお出しします。薄くした豚肩ロースで、シメジと鶏もも肉、溶き卵などを巻き、さらしとタコ糸で形を整え、2時間茹でておきました。分厚く切ったものを、洞爺湖町の粒塩で食べてもらいました。

 次にサラダです。ちぎったレタス、細切りにしたニンジン、薄切りキュウリに塩をふり、しんなりさせておきます。ですが、まだお酢がありません。このままだと、ただのしょっぱいしんなり野菜。そこで、細かく刻んだベーコンを米油でじっくり炒めて、ベーコンオイルを作り、お好みでかけて食べてもらいます。

 塩味を基本にした優しい味付けは、慣れないと物足りなく感じることがあります。料理をしながら、出したお料理への反応が気になります。なんとか喜んで食べてもらっている雰囲気。ほっとします。お客さまより、息子がソーセージをばくばく食べているのが少し恥ずかしい。

宇宙の神秘の貝料理

 この日のため、ちょっとだけ遠くまで買い物に行きました。苫小牧のぷらっとみなと市場。地元の北寄貝(ほっきがい)とツブ貝を買っておきました。もちろん貝殻のまま。北寄貝は貝開けナイフで開き、ツブ貝は包丁の背で殻を砕いて身を取り出します。

 私が宇宙飛行士だとして、火星に初めて降り立った人類になって、この生物を発見したら、たぶん食べません。それだけ貝殻の中身は宇宙の神秘を感じさせるフォルムをしています。地球上でも最初に食べた人は英雄です。北寄貝は、以前、マグロの皮で作ったトマトバジル味の和え物に仕上げます。

 ツブ貝は、米油のアヒージョにしました。また息子が、アヒージョに添えたトーストだけばくばく食べてるのが、気になりますが、食のプロ3人が笑ってくれているので、まあしょうがない。

メインは君だ!ボリューミー肉パスタ

 もう一つ、この日のために温めていたメニューがありました。それは生パスタ。東急ハンズで見つけたおしゃれなパスタマシーン。パスタが、小麦粉、玉子、塩と油だけで作れることを知って、衝動買いしていました。

 数日前に試作した時は、普通の強力粉で作った麺は軟らかく、べちゃっとしていました。この日は違います。留萌産(るもい)のルル・ロッソ、パスタに適した超強力粉です。強そう。こねて寝かして延ばす時には、コシがありすぎて延びない。期待が高まります。パスタマシーンで強引に延ばして、幅広なのフェットチーネにしました。

 生パスタのゆで時間は2分弱。合わせるラグーソース(煮込んだお肉のソース)も自信作です。勇気を出して白老牛のステーキ肉を買った時、一緒に買った安いすじ肉とすね肉を、圧力鍋でじっくり、崩れるまで煮ました。壮瞥の清水農園のお母ちゃんのトマトで作ったトマトソースをたっぷり入れ、ニンニクの香りも利かせています。

 得意気に食卓にパスタを出します。私がパスタマシーンをぐるぐる回している間から、3人のゲストは気になってしょうがなかったようです。まず、ちょっとだけ大皿から取って味見。わあーと声が上がって、もう少し多めに取って食べる。私たちが2か月近く苦労してやっと辿り着けた味は、どうやら初めて食べる友人にも美味しく感じてもらえている。こんなに嬉しい瞬間はありません。

やっぱりパーティーは楽しくて美味しい

 藤野ワイナリーのロゼが空いてしまっても、おしゃべりは止まりませんでした。誰からともなく、そろそろ帰らなきゃという声が上がった時、妻が慌てだしました。冷凍庫に忍ばせておいたアイスクリームと、フローズンヨーグルトを出し忘れていたからです。

 この2つは、アイス好きの娘が食べられないと怒り出すほど硬い。代行タクシーが到着するギリギリで、なんとか盛り付けました。すでに家の前には代行タクシー。ゲスト3人は、身支度を整え、立ち上がってアイスをかき込みます。美味しいよ!パーティーの最後は嵐のような慌ただしさです。

 家族全員でお見送りした時には、外はすっかり夜。ふぅと息をついて、妻とハイタッチです。ホームパーティーで友人と楽しく食べると、やっぱりいつも以上に美味しい。準備はちょっとだけ大変でしたが、それ以上のお釣りがくるぐらいの感動に包まれ、バタンと寝床に倒れ込むのでした。

 お越しいただいた、蝦名さん、谷口さん、井上さん、本当にありがとうございました。季節が移り変わったらまたやりましょうね!

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