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EPISODE #169
【お料理】新得地鶏のカリカリ焼き
十勝の新得町で買った教習所育ちの “新得地鶏” 。どうやって食べたら一番美味しいのか、あれこれ試した結果、行き着いたのはシンプルに素材を活かす食べ方でした。
今回は、我が家が一番気に入っている “新得地鶏” の食べ方のお話です。
“新得地鶏” は、我が家から77マイル(124km)東にある十勝エリアの新得町育ちです。自動車教習所「新得モータースクール」の武田さんが、生まれ育った新得町の名物を作りたいという想いで、新得町にある畜産試験場で開発された地鶏のヒナを育て始めました。
教習所育ちというのは本当で、教習所の運転コースの横にある鶏舎で育てられています。2009年から販売が開始され徐々に出荷羽数は増えていますが、まだまだ貴重な地元の地鶏です。私は、なんとか新得町の上田精肉店で購入することができました。
札幌の我が家から100マイル以内で初めて見つけた地鶏です。スーパーで買えるふっくら柔らかい鶏肉も好きですが、たまには、しっかり歯応えがあって滋味あふれる地鶏の味わいを堪能したいと思いました。でも、どうやったら地鶏らしさを引き出した料理ができるのでしょうか。
上田精肉店で購入した “新得地鶏” は、おススメの料理法がいくつか書かれていました。初めて買うことができた地鶏そのものの美味しさを素直に味わいたかったので塩焼きで食べる事にしました。書かれていたレシピは、最弱火でパチパチと小さい音がやっと聞こえるぐらいで、ゆっくりと焼くというものでした。
“新得地鶏” は、身が淡いピンクのブロイラーとは違い、赤い筋肉質の身で引きしまっています。普通に焼いては固くなってしまうので、肉にストレスをかけずに弱火で柔らかく焼くレシピでした。フライパンに薄く油を引いたら、両面に塩を振ったもも肉をギリギリ消えないぐらいの弱火で皮目から焼いていきます。
蒸し焼きにするようにフタをして、身の厚さの半分まで白く火が通ったら、ひっくり返します。またフタをして、残りの半分に火が通ったら出来上がりです。ゆっくり火を通しているので、身が縮まらずに確かに柔らかい塩焼きになりました。肉汁もたっぷりあります。
柔らかくてジューシーな地鶏の塩焼き。美味しいことは美味しいのですが、私にはちょっと物足りませんでした。何かもう少し、ガツンとインパクトがあってもいいんだけどな。でも、そう感じていたのは私と妻だけでした。子供たちは喜んで食べてくれています。このお肉はまだまだ美味しく食べられるはずなんだけどな。
多めに買った “新得地鶏” はまだあります。他の焼き方も試してみようと思いました。我が家にあったおつまみのレシピ本に載っていた「鶏もも肉のカリカリ焼き」です。フライパンに大さじ1杯の多めの油をひき、強めの中火で温めます。もも肉を皮からジュワーっと焼きます。
油が跳ねるのを防ぐのと火が通りやすくするためフタをします。溢れ出てきた肉汁は、キッチンペーパーでこまめに吸い取ります。肉の上の方まで白っぽくなってきたら、ひっくり返して大さじ半分の油を足して弱火にして焼きます。ここで初めて塩を焼き色がついた皮目に振ります。
3分ぐらい弱火で焼いたら火を消して、またフタをして5分ぐらい予熱で火が通るのをまったら完成です。
2回目の地鶏の塩焼き、同じお肉を使っていながらまったく違う料理になっていました。多めの油で焼き上げた皮は、香ばしくカリカリになっています。肉は適度に水分が抜けて、しっかりとした弾力がある歯応えです。そうです、私が食べたかった地鶏料理は、こんなワイルドな料理です。
地鶏もブロイラーも、鶏肉は多少の臭みがある気がします。でもこのカリカリ焼きは、余分な水気が落ちて、香ばしさを身にまとっているので、鶏の特有の匂いは弱められ、ちょうどよいアクセントになっています。これがまた食欲を誘うのです。
カリ、ガシ、グッグッ、ジュワ。口の中が食感と旨味と香りでいっぱいになりました。地鶏は普通の鶏肉と違います。だから食べる人によって、好きな料理方法も変わるはずです。我が家が見つけた “新得地鶏” と「カリカリ焼き」の組み合わせは、シンプルですが地鶏の美味しさを引き出せる、素晴らしい食べ方の1つでした。
一番好きな食べ方が見つかった時、“新得地鶏” は、他の鶏肉では絶対に出せない美味しさで応えてくれるはずです。
“新得地鶏” のカリカリ焼き(4人分)