©100マイル地元食
EPISODE #134
【お料理】足りない物だらけのクリスマスディナー
クリスマスディナーを100マイル地元食ルールで作るとどうなるか。特別な材料は使わずに、子供たちが好きなメニューに挑戦しました。
今回は、足りない物と代わりの物だらけのクリスマスディナーのお話。
たぶん今年最後の我が家のイベントになるクリスマスディナー。特別な日のご飯は、子供たちに楽しんでもらいたくて、何を作ろうか、妻と一緒に考えていました。100マイル地元食のルールで、我が家っぽく、遊び心もちょっと入れて。
作ることにしたのは、妻が数日前から仕込んでいたハムの他に、チーズを使わないラザニア、羊腸の皮を使わないソーセージです。重要な材料が手に入らずに作るのを諦めていた料理を、この機会に作ってみようと考えました。
市販のハムは、豚肉が地元産でも、必ず範囲外の塩や調味料が使われていて買うことができません。チーズも問題は塩。チーズは生乳と塩だけで作られるシンプルな食材ですが、地元の塩を使ったチーズは見つけられていません。ソーセージでは、皮になる羊の腸が海外のものなので、市販品は食べられません。
本当に面倒なルールを設定したものです。
まずは、皮無しソーセージから作ります。豚挽き肉と刻んだ野菜、牛乳とパン粉と玉子のつなぎ、塩、香り付けのローズマリー、タイム、ローリエを混ぜてこね、耐熱皿に詰めてオーブンで焼きます。しっかり固まったら、厚めにスライスしてフライパンでこんがり焼いて完成です。
次に、チーズ無しラザニアです。今まで作り置きしておいた材料で、手際よく作ることができました。留萌のパスタ専用超強力粉“ルル・ロッソ”の手打ちパスタ、冷凍しておいたミートソースとホワイトソース。パスタを硬めに茹でてから、パスタ、ホワイトソース、ミートソースの順で何層も重ねていきます。
チーズに代わる香ばしさが欲しくて、妻のアイディアで、一番上にはフライパンでこんがり焼いたパン粉をかけました。慎重にオーブンに入れて焼き色をつけたら、チーズ無しラザニアの完成です。
地元で足りない物は使わないか、別の物で代用する。諦めて通り過ぎた物にはこだわらず、工夫できる物だけ楽しんでみる。なんとも気楽なお料理です。
ハムは、調理方法が変わっていました。3日前から、野菜の旨味が溶け出した塩水につけた豚のロース肉。これに火を通していきます。一気に加熱するとガチガチに硬まって、肉汁も逃げ出してしまいます。だから、ゆっくりじっくり火を通します。
「スープを沸騰させて火を止めたら、肉を入れて冷めるまで待つ。肉を取り出して、もう一度同じことを繰り返す。」なるほど、これならゆっくりじっくりできます。でも問題は、「スープ」でした。レシピ本通りなら、固形スープの素で良いのですが。そんなもの、100マイル内にはありません。
仕方なく、冷凍庫に大切にしまっておいた豚のスペアリブ用のお肉で出汁をとりました。一度、臭みを取るために茹でこぼしてから、圧力鍋で、香味野菜とスペアリブを茹でました。茹で汁はハム用に、スペアリブは翌日のご馳走になります。
2回沸かして、2回待って、豚肉の塊は、ほんのりピンク色のハムになりました。活躍してくれた「スープ」は、セロリと人参と、家庭菜園で採れて冷凍しておいたトマトを入れて、本当のスープにしました。
ナイフでハムを薄く切っていきます。中まで優しく火が通っていて、肉汁がじわりとしみ出してきます。子供たちとつまみ食いすると、塩味が少し薄い気がしました。妻が漬け込んだ時間が短かったのかな。足りない分は、貴重な塩をちょっとだけふって補います。
皮無しソーセージは、思ったよりもソーセージでした。ハーブの香りとこんがりと焼いた香ばしさが食欲を誘います。自家製の粗挽き挽き肉の歯応えが、なんともそれらしい雰囲気を出しています。子供たちにとって待ちかねた味、何枚もおかわりします。
チーズ無しラザニアも、クセになる味です。手打ちパスタのぷつぷつという歯応えとともに、クリームソースとミートソースのコクが広がります。ソースを作り置きしておけば、こんなに本格的なラザニアがすぐ作れるなんて、良いことを知りました。
「良い子にしてないと、サンタさんのプレゼントがじゃがいもになっちゃうんだって。」
長男(6)が、幼稚園で誰かから聞いてきた話を披露してくれました。じゃがいもの方が助かるなあ、と思いつつ、足りない物だらけの特別なディナーで、満ち足りた時間を楽しむのでした。
ハム
皮無しソーセージ
チーズ無しラザニア