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ラッキーな2つのお土産

EPISODE #51

ラッキーな2つのお土産

2017.8.22

十勝旅行,食材調達

今回の十勝の食をめぐる旅行では、多くの方たちと出会い、大いに地元の食材を楽しみました。本当に幸せな4日間。100マイル地元食ルールでの初めての旅行の緊張、初日のどうにもならない辛さはありましたが、もうすっかり忘れてしまいました。

でも、書き忘れていたことが1つだけありました。それはお土産ルール。カナダの原作者が設定した例外ルールです。旅行から1つだけ好きな食材を持って帰っていい。

今回は、お土産をめぐるちょっとした幸運のお話。

原作者の苦労に比べたら北海道は楽園

以前ご説明した通り、我が家が挑戦している100マイル地元食には、モデルがあります。カナダで2007年に出版された「The 100-Mile Diet : A year of local eating」です。この本の著者であり、元祖100マイルチャレンジを作り出したカナダ人の2人は、我が家以上に本当に苦労していました。

カナダは農業国のイメージがありますが、舞台となった西海岸のブリティッシュコロンビア州では、小麦と砂糖はほとんど作られていませんでした。パン食を中心にしているカナダ人には本当に大変な1年間だったに違いありません。これに比べれば、北海道は100マイル消費者の楽園です。

そんな彼らが苦労の中で、設定した例外ルールがありました。それがお土産ルールです。自宅から半径100マイル(160.9㎞)よりも外に旅行をしたとき、1つだけ旅先の食材を家に持ち帰って良いというものです。楽園に住む私たち家族ですが、このルールだけは都合良く真似することにしました。旅に出る前から、お土産を何にするか、妻と私の議論のタネになっていました。

ワイン城で出会ったみりんの代わり

1つだけ食材を持って帰れると言われると迷います。バーベキューで最高に美味しかった阿部さんの黒豚や池田牛は、持って帰っても一瞬で食べ終わってしまうはずです。十勝らしい小麦粉や豆も、我が家がある札幌近郊のものが手に入ります。

そんな時、妻にまんまと乗せられて立ち寄った池田町のワイン城で見つけた食材がありました。直売コーナーにあったあるお酒、ビートのこころあわせでした。ビート(砂糖大根)の糖蜜だけを十勝産酵母で発酵させたリキュールです。

甘いお酒?これはもしかして、みりんの代わりになるんじゃないかな。思いついた時は、本当に自分で自分を凄い奴だと思いました。車で行っていて試飲はできなかったのですが、食いしん坊の勘を信じて2本購入していました。

十勝ヒルズにあった初めてのお酢

早々にお土産が決まってしまお酢

吉村さんに会いに訪れた十勝ヒルズで、思いもしなかった幸運な出会いがあったのです。十勝ヒルズは豊かな地元の農産物で作った多くのオリジナル商品を販売していました。

どうせ買えないと思いながら眺めていたお土産屋さんのドレッシングコーナー。その隣に、まさかのお酢が並んでいたのです。お酢は、6月に100マイル地元食を始めて以来、ずっと探していた調味料でした。北海道は意外にも米の大産地で、酒蔵もたくさんあるのに、地元のお酢がなかったのです。そんな不運に、憤りを感じた時もありました。

でも、十勝は米が採れないはずです。驚いたことに、そのお酢たちは、長いもや小豆、金時豆、白いんげん豆から作られていたのです。しかも原料はそれだけ。これは見事に完全な地元のお酢でした。

酸味と甘味のどちらを選ぶか

困ったことが起きました。すでにお土産用にビートのこころあわせを2本買ってしまっています。ここでお酢を買ってしまうと、先の2本は持ち帰ることができません。売り場で棒立ちになる妻と私。みりんとお酢のどちらを選ぶか、真剣な会議が始まりました。

みりんがあれば、長女(3)に美味しくないと残されてしまったうどんを、もう少しだけ本物っぽく作れるかもしれません。ですが、お酢があれば、塩味だけで浅漬けのようになっていたサラダに、手作りのドレッシングがかけられます。

最終的に、酸味が甘味に勝りました。みりんも惜しい、だけど砂糖でなんとか代用できます。なんとか自分たちを説得して、お酢を4本買いました。決して安い買い物じゃないけど、これを逃せば手に入らないかもしれない奇跡の商品です。背に腹は代えられません。

思いがけない幸運?それとも思い込み?

斎藤農場の一成さんに会ってから、我が家に帰る車内。十勝での本当に幸せな数日間を思い返す私たち。ですが、心残りはビートのこころあわせをどうするかってこと。せっかく買ったのに、誰かにあげるしかないのかな。

あれ、ちょっと待てよ?斎藤農場は、我が家から98マイルだったんだから、十勝ヒルズももしかしたら範囲内なんじゃない?幕別町にある十勝ヒルズは、斎藤農場からも割と近い場所にありました。祈るような気持ちで地図アプリで調べてみます。なんと、158.1㎞、つまり98マイルでした。それなら、お酢は範囲内だから、お土産ルールを使わなくてもいいんだ!

幸運と言うか、思い込みと言うのか、私たちは初めから必要のないことに本気で悩んでいたんです。これで、初めてのお土産ルールで買ったビートのこころあわせと、最初から100マイル内だった十勝ヒルズのお酢を、両方とも持ち帰ることができたのでした。

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