十勝旅行では、多くの方たちと出会い、大いに十勝の地元の食材を楽しみました。本当に幸せな4日間。100マイル地元食ルールでの初めての旅行の緊張、初日のどうにもならない辛さはありましたが、もうすっかり忘れてしまいました。

そして、書き忘れていたことも、1つだけありました。それはお土産ルール。カナダの原作者が設定した例外ルールです。旅行から1つだけ好きな食材を持って帰っていい。

今回は、お土産をめぐるちょっとした幸運のお話。

原作者の苦労に比べたら北海道は楽園

以前ご説明した通り、我が家の100マイルにはモデルがあります。カナダで2007年に出版された「The 100-Mile Diet : A year of local eating」です。著者であり、元祖100マイルチャレンジの実践者の2人は、本当に苦労していました。

カナダは農業国のイメージがありますが、舞台となった西海岸のブリティッシュコロンビア州では、小麦と砂糖は商業的に作られていませんでした。パン食を中心にしているカナダ人には本当に大変な1年間だったに違いありません。これに比べれば、北海道は100マイル消費者の楽園です。

そんな彼らが苦労の中で、設定した例外ルールがありました。それがお土産ルールです。100マイルよりも外に旅行をしたとき、1つだけ旅行先の食材を家に持ち帰って良いというものです。楽園に住む私たち家族ですが、このルールだけは真似することにしました。

ワイン城で出会ったあの調味料の代わり

1つだけ食材を持って帰れると言われると迷います。バーベキューで最高に美味しかった阿部さんの黒豚や池田牛は、持って帰っても一瞬で食べ終わってしまうはず。十勝らしい小麦粉や豆も、我が家がある札幌近郊のものが手に入ります。

そんな時、妻にまんまと乗せられて行った池田町のワイン城で見つけたものがありました。直売コーナーにあったあるお酒、ビートのこころあわせでした。ビートの糖蜜だけを十勝産酵母で発酵させたリキュールです。

甘いお酒。これはもしかして、みりんの代わりになるんじゃないかな?思いついた時は、本当に自分で自分を凄い男だと思いました。車で行っていて試飲はできませんでしたので、自分の勘を信じて2本購入しました。

十勝ヒルズにあったまさかの調味料

早々にお土産が決まってしまい拍子抜けしながらも、十勝旅行は進んでいきました。そして最終日。

吉村さんに会いに訪れた十勝ヒルズで、思いもしなかった幸運な出会いがあったのです。十勝ヒルズのオリジナル商品が並んだお土産屋さんでした。

どうせ買えないと思いながらも見ていたドレッシングの隣に、お酢が並んでいたのです。お酢は、6月に100マイル地元食を始めてずっと探していた調味料でした。米どころで日本酒もあるのに、地元のお酢がない。そんなちぐはぐな地元に憤りを感じていました。

十勝は米が採れないはず。ですが驚いたことに、そのお酢たちは、長いも、小豆、金時豆、白いんげん豆から作られていたのです。しかも原料はそれだけ。これは見事に地元のお酢でした

酸味と甘味のどちらを選ぶか

困ったことが起きました。すでにお土産用にビートのこころあわせを2本買ってしまっている。ここでお酢を買ってしまうと、あの2本は持ち帰ることができない。売り場に立ち尽くし、みりんとお酢のどちらを選ぶか、真剣な会議が始まりました

みりんがあれば、長女(3)に美味しくないと残されてしまったうどんを、もう少しだけ本物っぽく作れるかもしれません。ですが、お酢があれば、塩味だけで浅漬けのようになっていたサラダに、ドレッシングがかけられます。

最終的に、酸味が甘味に勝りました。みりんも惜しい、だけど砂糖でなんとか代用しよう。そう諦めをつけて、お酢を4本買いました。決して安い買い物じゃないけど、ここにしか存在しない物を買うんだからしょうがありません。

思いがけない幸運?

斎藤農場の斎藤さんに会ってから、我が家に帰る車内。十勝での本当に幸せな時間を思い返す私たち。ですが、1つだけ心残りは、ビートのこころあわせのこと。せっかく見つけたのに...そんんな時、ちょっと気になることがありました。

幕別町の十勝ヒルズは、十勝平野の真ん中ぐらいだけど、札幌の我が家からはどのぐらいの距離にあったんだろう。携帯アプリで調べてみます...158.1㎞、つまり98マイルでした。あ、それなら、あのお酢は、お土産ルールを使わなくてもいい、我が家の100マイル範囲内のお酢だったんだ。

幸運と言うか、思い込みと言うのか、問題ないことに本気で悩んでいたんです。これで私たちは、例外ルールのビートのこころあわせと、最初から100マイル内だった十勝ヒルズのお酢を、両方ともお土産として持ち帰ることができたのです