塩は生きていくために絶対に必要な食材ですが、それだけでは生きていけません。いつか関東地方で100マイル地元食に挑戦する日のために、2つの町で地元食材を探してみることにしました。

今回は、関東地方で地元食材が買えるお店探しをしたお話です。

横浜を中心とした100マイル

以前の仕事の関係で北海道札幌市に引っ越してきたのが3年前。それよりも前は、私が育った神奈川県横浜市に住んでいました。横浜は、東京の企業で働くサラリーマン家庭のベッドタウンとして、また港町の雰囲気と流行のライフスタイルが共存する町として人気です。

横浜港
歴史と新しい文化が共存する横浜

横浜市の人口は373万人で今でも増え続けています。札幌と比べると、横浜市の人口密度は5倍近くもあります。横浜は多くの人が集まって生活をしている大都市。それは、人が住み消費生活を送る場所であって、食料生産を盛んに行う場所では無いのです。

それなら、食べ物を作っている土地まで移動するしかありません。横浜を中心とした100マイル(160.9km)の丸を書くと、東は千葉を全部含んで太平洋まで、北は栃木県の日光市、西は富士山を越えて長野県の一部、南は三宅島までが範囲に含まれます。

鎌倉は農産物の宝庫

横浜から南に15マイル(24km)、車で1時間の場所に、相模湾に面した冬でも温暖な鎌倉市があります。この町には、有名な直売所があります。由比ガ浜から鶴岡八幡宮に続く参道、若宮大路にある「鎌倉市農協連即売所」、略して「レンバイ」と呼ばれ地元で愛される直売所です。

レンバイ
鎌倉若宮大路にある「レンバイ」

思ったより静かな施設の中を覗き込むと、野菜も人も全く見当たりません。訪れたのは年が明けて間もなく。まだ正月休みの真っ最中でした。仕方が無いので、近くで営業しているお店を探しました。運良く、道を挟んだ向かいに鎌万(かままん)というスーパーがありました。

鎌万
お正月でもやっていた地元スーパーの鎌万

店先には、鎌倉産のほうれん草や、湘南地域の長ネギ、近くの三浦半島のキャベツや大根など、多くの野菜が並んでいます。嬉しかったのは鎌倉産のレモンがあったことです。北海道ではいくら探しても見つからなかったレモン。関東での挑戦では心配無さそうです。

鎌倉産レモン
鎌倉産のレモン

鎌倉の近くの海沿いを走っていると、何やら漁港に多くの人たちが集まっていました。腰越漁港の新年のお祭り、「船祝い」でした。漁師さんや地元の方達が、地元の漁業や伝統を大切にしているのが伝わってきます。腰越漁港では、3~12月に定期的な朝市が行われ、名物のしらすを始めとした新鮮な海産物が買えるそうです

腰越漁港
腰越漁港の「船祝い」
千葉の富山の道の駅
富楽里とみやま
道の駅富楽里とみやま

次に向かったのは、千葉県南房総市にある「道の駅富楽里とみやま」です。横浜から南東方向に30マイル(48km)、東京湾を横断するアクアラインを通れば、1時間ちょっとで行ける距離です。こちらは、海と山に囲まれた房総半島らしく、道の駅の中に岩井冨浦漁協直営の「大漁市場」と、冨浦地域の350人の農家さんが出品する「豊作市場」があります。

水槽
水槽には地元の海で獲れた魚たち

「大漁市場」には大きな水槽があり、東京湾で獲れたカレイやマゴチ、エイやサメが泳いでいました。他にも、カンパチの切り身や、焼アゴ(焼いて乾かしたトビウオ)もあります。海が変われば、獲れる海産物も変わります。

豊作市場
「豊作市場」は旬のミカンが山盛り

「豊作市場」でも、やはり気候の違いを感じました。冬のこの時期、南房総はみかんの旬を迎えていました。キンカンに夏ミカン、シークワーサーまであります。冬野菜に米、ハチミツに玉子まで揃っていて、生きていくのに十分な食材が買えます。

消費と生産が近くにある土地の魅力

多くの都会人が住む東京都心と周辺の湾岸エリア。大都会が食べ物を生産していないとしても、少し車を外に走らせるだけで、豊富な地元の食材が手に入る土地に行けます。全ての物が勝手に集まる都会で生きていると、少しだけ外の、生産の世界の存在に気が付かないのかもしれません。

鎌倉と冨浦の2つの土地を歩いて、気が付いたことがありました。私たちが魅力を感じるのは、消費と生産の両方がバランス良く存在している地域。海や山、そこで働く方達の息吹を感じながら、近くで生きて消費ができる土地です。

レモン
生産のすぐ近くで消費ができる素晴らしさ

土地が変われば食べ物が変わり、食生活もまた別物になります。それぞれの土地での食生活を通じて、地元の海や山に包まれる感覚が得られる、そんな土地は日本中にあるはずです。北海道札幌での生活を大切にしながら、100マイルルールで外の世界にも出てみたい。そう感じさせてくれた、束の間の関東滞在でした。