©100マイル地元食
EPISODE #130
【ストーリー】年末年始はどうします?
今年の年末年始も関東に帰省することになりました。問題は、帰省中も100マイル地元食のチャレンジを継続するかどうか。いや無理でしょ。また例外ルールを作ることになりそうです。
今回は、年末年始に考えたい、ある可能性についてです。
我が家が、私が生まれ育った横浜から、札幌に引っ越してきて3回目の年末です。先の2回は、会社勤めをしていましたので、あまりゆっくりと帰省することができませんでした。今年は、来週から2週間も帰ることができます。
私の実家がある横浜と、妻の実家がある千葉。札幌に来てからあっという間に成長した孫たちも、両家の祖父母と遊ぶのを楽しみにしています。実家にいる間に、高校や部活の友人たちに会えるでしょうか。久しぶりに食べる実家のご飯はどんな味でしょう。
そうです。ここに悩ましい問題があります。この2週間、100マイル地元食の挑戦を続けることはできるでしょうか。関東の地元食材を全く持っていない中、例外ルール「旅行ルール:旅行には1品だけ食品を持っていける」を使って、塩だけを持って帰省する?年末年始の、生産者さんたちがみんな休んでいる時に、直売所巡りをする?
ちょっと難しそうです。
そこで、また都合よく例外ルールを設けることにしました。
実家への帰省の時は、チャレンジを中断できる。
実家に集まった親戚と楽しむ食事。懐かしい友人との同窓会というなの飲み会。帰省して過ごす充実した時間を諦めないといけないなら、実家に帰る必要はありません。なので、今回の例外ルールも致し方ありません。
むしろ年末年始の2週間、チャレンジを離れることで、もう一度、こんな風変わりなライフスタイルを追いかける意味を考えてみたいと思います。ずっと前に読んで忘れてしまった100マイル地元食のルーツ「The 100-Mile Diet -A Year of Local Eating-」の原作本も読み返してみます。
この2週間、何を食べるか。短い間とはいえ、以前の食生活に戻ることによって、はたして何を感じるのでしょうか。昨年までは当たり前だった食事が、違った味に感じられるかもしれません。まず間違いなく、体重は増えてしまうと思いますが。
妻と話をしていて、最近考えていることがあります。もし、我が家が横浜か千葉、それとも東京に住んで、100マイル地元食に挑戦したらどうなるか、ということです。今は、札幌という、おそらく世界で一番このチャレンジに適した土地に住んでいます。
それが、関東の大都会だったらどうなるでしょうか。もし、横浜に住むことになれば、100マイル(160.9km)範囲内に、関東地方と山梨県のほぼ全域、西側は長野と静岡の一部が入ります。南は三宅島までの豊かな海が含まれます。札幌とは全く違った食生活になるのは間違いありません。
家の近くには、農家さんや漁師さんは少ないかもしれません。塩はあるのでしょうか。肉、牛乳、玉子は?札幌よりも冬は優しい分、みかんは山ほど食べられるはずです。新たな気持ちで関東に帰る2週間、この新天地での生活につながる糸口を見つけたい。
こう考えるには理由があります。我が家は、ずっと都会の中で生きてきました。そして、便利で毎日変わり映えのしない食生活に疑問を感じ、100マイル地元食を始めました。今では、食についてだけでなく、家族や仕事、人生に対する価値観さえも変わるほどの体験を日々しています。
つまり、100マイル地元食の新しいライフスタイルは、大都会の中で地元と切り離された食生活を送る現代人にこそ受け入れられる。そう思うのです。ですが一方で、アジア有数の巨大消費地である関東地方では、食べ物を売る立場の皆さんは強烈な競争にさらされています。
大消費地の近くであるからこそ、地元の食材に目を向けてもらえない。そう嘆いている生産者さんは、少なからずいるはずです。疲れた現代消費者と苦悩する生産者さん。そんな関東地方に、100マイル地元食ルールをぶつけてみたら?考えるとわくわくします。
せわしなくもゆったりと流れる年末年始の時間の中で、明日につながる何かを見つけるために、本を片手に走り回ろうと思います。