©100マイル地元食
EPISODE #107
【ストーリー】中から見た直売所の正しい楽しみ方①
直売所ってどんなお店なんだろう?いつも買い物をしている直売所をもっと楽しむために内側から見てみたい。そんな安易な思い付きのような願いが、いつものように友人の助けと幸運で実現したのでした。
農産物直売所で働いた夢のような3日間。今回は、働いてみてわかった直売所の正しい楽しみ方。複数回シリーズの1回目です。
我が家の家族から100マイル(160.9km)以内で作られた食べ物だけで1年間生活する、100マイル地元食の挑戦。一番野菜を買っている店は?と聞かれればあの直売所と答えます。それは、札幌の我が家から南西30マイル(50km)にある留寿都村の道の駅230ルスツ農林水産物直売所です。
大好きな直売所をもっと知るために、そして、もっと楽しむために、直売所の仕組みをちゃんと知りたいと思いました。直売所で働く体験がしたい。相談したのは、よしかわファームの巴さん。すぐに直売所の支配人を紹介してくれました。
こんなお願いを聞いてもらえるのでしょうか。勇気を出して支配人に電話しました。私の妙な熱意に押されたのか、意外にも支配人は、3日間の職業体験をすんなりと受け入れてくれました。期間は、11月初めの三連休。夢がまた1つ実現しました。
初日の金曜日、直売所に朝8時に来るように言われました。直売所のオープンは9時。そんなに早く店の準備が始まるのかな?と不思議に思いながら、店に着きました。直売所の横にワゴン車が何台も停まっています。何が起きているのでしょうか?
直売所の脇のドアから中を覗き込みます。すでに多くの農家さんが、ご自分の畑で採れた野菜を棚に並べています。慌ただしく車と店内を往復する農家さんたち。店内の商品の整理をするスタッフの皆さん。朝の挨拶、笑い声、世間話で本当に賑やかです。
直売所の仕組みでは、農家さんに店内の陳列棚を貸しています。農家さんは、思い思いの野菜を自分の棚に並べて売ります。お客さんが野菜を買っていくと、直売所が手数料だけを抜いて、残りは本来の売り主の農家さんの取り分になります。
支配人の顔を見つけました。おはようございます!3日間よろしくお願いします!
9時のオープン前には、ほぼ全ての農家さんが商品を並べ終わります。限られた棚のスペースに、ぎっしりと野菜を陳列しています。朝一番の売り場が、1日の内で一番品揃えが良い。新鮮そのものの野菜が、お客さんを待っていました。
9時のオープン時には、驚くことに、数名のお客さんが扉の前で、待っていました。どうやら近所に住む常連さんのようです。さすがに直売所の楽しみ方をよく知っています。まだお客さんが少ない店内。ゆっくりじっくりと買い物を楽しんでいます。
今の季節は、掘ったばかりの新物の長いも、みずみずしい新ごぼう、じゃがいもにカボチャ、白菜、大根と、秋の野菜が並んでいます。品質が良さそうなもの、お買い得なものから、次々に買われていきます。
留寿都の直売所が一番混むのは、11時頃です。9時過ぎに札幌を出て遊びに来ると、ちょうど直売所で休憩を取る時間が11時です。観光バスが停まるピーク時間は、店内がお客さんで一気に一杯になります。3台あるレジも行列になりました。
ピーク時間の活気ある店内での買い物ももちろん楽しいですが、なかなかゆっくり商品を見られません。朝一番には商品で埋め尽くされていた棚も、大群が去った後はすき間が目立ちます。直売所で良い物を買いたいなら、ピーク時間と直後を避ける。これもポイントです。
今回、見つけた正しい直売所の楽しみ方は、この2つ。
何もわからないまま、一気に過ぎた職業体験初日の午前中。消費者からスタッフに変わっただけで、見るもの全てが違って見えてきます。この3日間で、かけがえのない体験ができそうです。