このブログをいろいろな方に見ていただく機会が増えたことで、少しずつですが応援の言葉や、共感の声をいただくようになりました。そんな中で、なぜこんな大変な食生活を始めたのですか?というご質問をいただきました。

今回は、少しだけ過去を振り返り、100マイル地元食という新たな食生活を始めようと決意した日のことをお話しします。

いつものコンビニで食べたい物がなかった

ある日、午前中の仕事が長引き、昼食をお店でとることができず、コンビニで簡単な買い物をすることにしました。ですが、いくら売り場を見回しても、おにぎりにもパンにも手が伸びませんでした。食べたい物が無かったのです。

いつもなら、鮭おにぎりとカレーパン、飲むヨーグルトの定番メニューに決まっていました。いつ行ってもそこにある、この3品で十分にお腹は膨れるし、決して身体に悪い組み合わせとは思いませんでした。

ですが、この日だけは、いつものコンビニのメニューが、何か違って感じられ、私まで届いてこなかったのです。

この時、私は食品業界で、野菜や果物の輸出入を手掛ける仕事をしていました。東京で勤務していた時ほどではないにしろ、札幌に転勤してきてからもそれなりに忙しい日々を送っていました。

学生時代に環境や農業、森林について学んでいた私は、初めての職業に就く際に、貿易商社という選択をしました。生産者と消費者の間を取り持つ仕事に就くことで、皆の食生活が豊かになり、環境問題も解決に導けるような、そんな大それた青臭い理想を持っていたのです。

ですが、ある時から、生産者と消費者から遠く離れた場所で、書類の上の数字ばかりに気を取られる日々に、少しずつ違和感を抱いていたのかもしれません。そんな私に、その時は突然訪れました。

毎日の食事は面倒な作業じゃないはずだ

いつからでしょうか、毎日の食事について考えるのが面倒になってしまったのは。日々、TVやネットに溢れる新商品のCMをただ受け入れ、目まぐるしく入れ替わるコンビニの棚の食べ物に、無意識に手を伸ばす。そこには、生産者の姿も、消費者としての自分の想いも存在しない、ひどく味気ない食生活がありました。

あの時の青臭い想いはどこにいったのか。

多くの人の食生活を豊かにしたいと考えて忙しく働くうち、私自身の食生活を失っていることに気が付いたのです。これからも、自分の想いから目を逸らし、心の奥底にしまいこんで、毎日同じメニューを食べるのか、それとも。

この時、すでに迷いはありませんでした。

消費者として生産者の近くで生きる

私自身が求める食生活は、他の誰かに実現してもらうものではありません。コンビニやレストラン、どこかの商社が、私の食生活を幸せなものにしてくれるのを待っていても無駄だと気付いたのです。

私は、妻に相談をしました。いつかカナダで出会った「The 100-Mile Diet」を我が家で、ここ札幌で始めたい。妻は驚くほどあっさりと賛成してくれました。すぐに、この食材は買えるかな、あれは無いかもと、考え始めています。女性の強さにはいつも助けられます。

この時、100マイル地元食を始めると決心しました。

これからは、ただの消費者として、我が家だけのルールに従って、生きていく。いつでも会いに行ける距離、買いに行ける関係の中で、生産者のそばで生きていく。必要な物が無ければ作ればいい、代わりの何かを探せばいい、誰かに作ってとお願いすればいい。

あの日、コンビニで立ち尽くした瞬間が、私の中の、小さな、そして確かな変化に気づかせてくれました。