我が家にある食品を全てテーブルの上に並べてみると、あまりの種類と量の多さに驚きます。この食べ物が、どこで誰が、どんな材料を使って作り、どうやって我が家まで来たのかを考えるとさらに驚かされます。

遠くから来た食べ物をどかし、“地元産”の食べ物だけを残しました。テーブルにわずかな食べ物が残るだけでした。

今日から「100マイル地元食」というライフスタイルを始めます

わたしは北海道の札幌に住む30代の普通の父親です。妻と子供3人の5人家族。3人目の子供が生まれたことをきっかけに、我が家は新しいライフスタイルを始めます。

それは「100マイル地元食」。自分から100マイル(160.9㎞)の範囲内で生産、加工、調理された食べ物だけを食べて生きていく食生活です。

現代人の食生活に慣れきった我が家が、このライフスタイルを始めるのは、相当の苦労があると思います。ですが、どこで誰が作ったかわからない食べ物を、ただ無自覚に食べるのはやめます。今日からは、私たちが住む土地で、知っている誰かが作ってくれている食べ物を食べて生きていきます。

モデルは北米で定着したThe 100-Mile Diet

このライフスタイルは、カナダの西海岸にあるバンクーバーという大都市で、ある男女2人が始めた100マイルダイエットがモデルです。2人は2007年に、1年間の新しい食生活への挑戦の様子をまとめた本「The 100-Mile Diet: A Year of Local Eating」(Random House)を出版しました。

この本の中で2人は、自分たちが何気なく食べている食品への疑問をきっかけに、新しい食生活のルールを決めて、食べる物が無い!と苦労しながらも、地元の食品の再発見しながら、充実した日々を送っています。

2人の挑戦は、となりのアメリカ合衆国も含む、世界の多くの現代人から共感を呼び、その後の「Locavore」(地域の食べ物を食べる動物という意味の造語)というライフスタイルに発展しました。

家にある食べ物はほとんど食べられない

今日から、ここ札幌を拠点に、新しい食生活を始めます。まずは、家にある食べ物から見直しました。

まずは、米や小麦粉、乾物に、冷蔵庫の中身です。今までの食生活で慣れ親しんだ食べ物たち。我が家から100マイルの範囲内の食べ物だけを残すと…

米と日高昆布、生野菜だけになってしまいました。

次に、調味料、自慢のスパイスたち、加工食品に飲み物です。こちらも100マイル内のものだけを残します。

米油、トマトジュース、ワインにポップコーンだけになってしまいました。

今後、食べていける物が無い。

今まで味わったことが無い不思議な不安を感じます。今までのライフスタイルや、さらには価値観まで崩れ落ちるような不思議な感覚です。

いかに無自覚に食べ物を選んでいたか

現代は、お金さえ出せば、誰もが自分の食べたい食べ物を購入することができます。その時、なにも基準を持たなければ、地球の裏側から届いた原料で作られた食べ物でも、どこでどう作られたのか全く分からない食べ物まで、なんでも買うことができます。

もっと言えば、本当に食べたかったのかわからない、家に置いてあることさえ忘れてしまった食べ物もありました。コンビニやスーパーの売り場に立っても、ネット動画やテレビを観ても、どこに行っても溢れている新商品の情報を、無自覚に受け入れた結果が、この食べ物の山なのかもしれません。

そんなことを感じた「100マイル地元食」の初日。とりあえず、この食べ物を捨てるわけにいかないので、1週間の猶予期間をもうけて、できるだけ食べることにしました。最近流行りのサルベージ・パーティーWeekの始まりです。