我が家では料理を作る時、レシピ本やレシピサイトを参考にしています。そんな時、ある言葉を目にすると、はあ、とため息が出ます。またか...

それは、醤油です。和食はもちろんですが、中華料理、アジア料理も、時には洋食でさえ醤油を使っています。日本人はほんとに醤油に頼った食生活をしています

今回は、手作り醤油の一大プロジェクトと地元塩の話。

ほんとは作りたくなかった自家製醤油

醤油作りには、とても長い時間がかかります。専門書のレシピを参考にすると、最低9カ月、美味しく作るには2年間も発酵熟成しなくてはいけません。我が家の100マイル地元食は1年間の挑戦です。残すは8カ月ちょっと。間に合いません。

そうは言っても、日本人は醤油が無い食生活に長く耐えられません。刺身は塩、北海道のご当地唐揚げのザンギも塩味、娘(3)に不評のうどんは味噌味。今後、チャレンジしたいラーメンも味噌か塩味だけ。横浜で育った私は、醤油とんこつ味じゃなきゃダメなんです。

いくら探しても、100マイル内の原料だけで作られた醤油は見つかりませんでした。もう、我慢の限界です。間に合うかどうか分かりませんが、一か八か醤油作りにチャレンジすることにしました

秘密兵器はヨーグルトメーカー

でも、間に合う算段も無しには始められません。強い味方になるのが、我が家のヨーグルトメーカーです。タイマーをセットすると、一定の温度を保って発酵食品が作れる調理家電です。浅い漬かりの白味噌なら一晩でできてしまう優れものです。

そして、醤油は塩水を入れて仕込むだけで、基本的な作り方は味噌と同じです。初期の発酵をヨーグルトメーカーで促進すれば、全体の発酵期間を短縮できるかもしれないと考えたのです。こうして、一発勝負でやり直しが効かない挑戦が始まりました。

本来なら麦麹を使うようですが、手に入るのは米糀だけ。一晩水につけてふやかした留寿都のよしかわファームさんの大豆を、圧力鍋で茹で、潰して、札幌の糀ファクトリーさんの玄米糀と塩と混ぜます。ヨーグルトメーカーに入れて、60℃で20時間発酵させます。できあがるのはいつもの味噌です。

そこに塩水を入れて、大きなガラスの保存容器に入れて、たまに振るだけで、後は待つだけ。いったい何カ月で完成するのやら。

待ちながら考える塩が無い理由

調味料が買えないのはいつものこと。最大の原因は塩です。100マイル範囲内の塩を使った醤油、味噌、ドレッシングは1つもありません。もう諦めてはいるものの、やっぱり納得いきません。何か月か後に醤油になるはずの味噌と塩水を眺めながら、考えていました。

根気よく探す気があれば、ネット上にはどんな問いの答えも載っています。日本では、戦前戦中には塩の自給が必要となり、戦後は国策として製塩技術開発を行ってきました。そして、1970年代に登場したのがイオン交換膜製塩法。大きな製塩工場で工業的に生産する方法です。

この時代から、国に育てられた大手製塩会社は、瀬戸内や北九州に限られてしまいました。だから、北海道には大きな製塩工場が無いのです。今、我が家が買っている岩内町の星の塩や、洞爺湖町のカムイ・ミンタルの塩は、2002年に塩の製造販売が自由化された後の自然塩ブームで生まれた、手作りの海水塩です。

イオン交換膜製塩法で作られる食塩は、100gで60円。手作りの海水塩は100g300円以上。5倍も価格差があったら、粋な大人や、かなりのグルメ、それか、よほど変なルールで縛られている家族ぐらいしか買わないでしょう

地元塩を応援したら変わること

今から、北海道にイオン交換膜製塩法の工場を誘致しよう!と役所の前で叫んでも、おいおい、いきなりどうした、このおじさん!?と、若者に避けて通られるのは明らかです。

ですが、我が家がある札幌の消費者が、地元の塩の美味しさを知って、とっておきの日の料理にだけ使うようになったら?少しの変化ですが、地元塩が多く作らるようになるし、値段が下がるかもしれません。

You are what you ate. (あなたは、あなたが食べてきたものでできている。)好きな言葉です。計算すると、私の身体には400gぐらいの塩が入っているそうです。私の中の塩が、全て100マイル内の海から来たものだとしたら?

保存瓶の濁った塩水を見つめながら、北の海を泳ぐ魚になった気分になるのでした。

材料とレシピ
  • 大豆 200g 留寿都 30mile
  • 米糀 200g 北竜  57mile
  • 塩  200g 岩内  40mile
  1. 大豆をたっぷりの水に18時間以上ひたす
  2. 圧力鍋にふやけた大豆と新しい水を入れてフタをせず強火にかける
  3. 最初に大量に出るアクをとったらフタをして圧力をかけ20分茹でる
  4. 茹で上がったら大豆と茹で汁に分けて人肌まで冷ます
  5. 米糀に塩80gを加え、ほぐしながらよく混ぜる
  6. 5を冷めた大豆に加え、茹で汁で硬さを調節しながらミキサーにかける
  7. ヨーグルトメーカーを使い、60℃で20時間発酵させる
  8. 水1リットル、塩120gで塩水を作り、7に混ぜる
  9. フタができる保存瓶に入れて、たまに振って混ぜながら数カ月待つ

※塩分濃度を味噌と同じ12%にしていますが、15%以上にするレシピが一般的なようです。

※ヨーグルトメーカーを使ったレシピが見つからず、何カ月で醤油になるかまったくわかりません。経過を見ながら、レシピは修正していきます。