我が家の唯一の発酵調味料、味噌。どんな料理でも活躍してくれますが、最近は味に不満がありました。そこで味噌作りの基本を調べ直したことで、これまで続けてきた作り方に原因があることがわかりました。

今回は、簡単、お手軽な味噌作りへの強烈な反省の話です。

味噌が白くて甘くて物足りない

100マイル地元食の挑戦を開始して1か月が経った頃、塩味ばかりの料理に飽きて、味噌を仕込みました。それ以来、自家製味噌は我が家の食卓に欠かせない調味料になりました。だけど最近、味噌の味に満足できていません。

甘くて、コクと香りが弱くて、色も白いままです。味噌汁にすると、白味噌を使ったような白くて甘い味になります。赤くて、コクがあって、しょっぱい味噌が好きな私には、上品で物足りなく感じてしまいます。なんと表現すればいいのか、味噌が若すぎる気がするのです。

味噌作りのレシピを見ると、最低でも3か月、できれば1年は寝かせた方が美味しくなると書かれています。でも、1年間のチャレンジの中でそんな長時間待ってられません。そこで、時間短縮を狙って使ったのがヨーグルトメーカーでした。

ヨーグルトメーカーで一晩と2か月で作った味噌

味噌作りの経験が無いのに、何カ月も待つのは嫌という、わがままな性格。まともに調べもせずに、ヨーグルトメーカーの箱に入っていたレシピ通りに味噌を作りました。茹でた大豆と麹と塩を混ぜて、ヨーグルトメーカーの60℃で一晩発酵させる。そしたら白味噌の出来上がり。

白味噌
ヨーグルトメーカーでできた白味噌

食べてみると、確かに甘い白味噌。でも、これでは物足りないからと、多めに作って密閉できる瓶に入れ、熟成させることにしました。こうすれば、普通の味噌の作り方よりも早く、一丁前の味噌になるはずでした。2か月ぐらい経った白味噌は、薄茶色味噌になり、それなりに旨味が増した気がしました。

階段下で眠る味噌
階段下で眠る味噌

でも、やっぱり物足りないのです。それだけではなく、最近開けた瓶は、私が苦手な納豆の香りがしました。これは作り方がおかしいんじゃないか?やっと疑い始めた私は、発酵食品の本や、味噌屋さんのホームページを読みあさりました。そこに書かれていたのは衝撃の事実「麹菌は60℃で死滅する。」...

60℃は大切な菌達をやっつけてしまう超高温

今まで半年、麹菌の働きを助けていると思って60℃で作り続けていました。でも、よく調べると、60℃で麹菌は死に、残った酵素だけが働いて、米麹のデンプンを甘い糖類に変え、大豆のタンパク質を旨味成分のアミノ酸に分解します。

でも、コウジカビが死に絶えた味噌の中では、新たな酵素は作られず、酵素反応は長続きしません。つまり、私が参考にしていたレシピでは、一晩経った時点で白味噌になりますが、それ以上は熟成が進まない味噌だったんです。

もっと言えば、香りや複雑な味を作り出す、酵母と乳酸菌も60℃前後で死にます。私がせっせと作っていたのは、味噌を美味しくする菌達が死に絶えた、時が止まってしまった味噌なのでした。

また、偶然入ってしまった納豆菌だけは120℃まで死なないそうです。さらに、密閉できる瓶で熟成させると、後で自然に入るはずだった空気中の酵母も乳酸菌も入り込めません。麹菌も酵母も乳酸菌もいない白味噌で、納豆菌だけが元気に生きている。あの匂いの理由がわかりました。

もう簡単レシピには頼らない

「簡単、お手軽、誰でも作れて失敗しない!」

最近よく目にする人気レシピのフレーズです。だけど、自分で本当の作り方を知らないままに、誰かが簡単にデフォルメしてくれた、省略レシピに飛びつくと、いつまで経っても、本質的な食べ物の奥深さに辿り着けません。

ヨーグルトメーカーで一晩で味噌が作れる!なんて、自慢気に書いていた自分を思い出すと恥ずかしくて赤面してしまいます。味噌作りに時間がかかるのには理由があったはずでした。それは、頑張り屋さんですが繊細な菌達が、シンプルな材料をじっくりと美味しく作り変えているからでした。

本質を知っているから、工夫して簡単に済ませられる。でも、簡単から入って本質を知るという逆はあり得ません。もう一度、味噌作りを一からやり直そう。温度を変えて、容器を変えて、期間を延ばしてと、やりたいイメージは見えています。

でも、すでに作り溜めしてある5リットルの味噌はどうしましょう...これは大切に食べながら、新しい味噌を作っていきます。また新しい課題が見つかって、ウキウキしています。

白くて甘い味噌
白くて甘い自家製味噌