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ずっと我慢の燻製ベーコン

EPISODE #28

ずっと我慢の燻製ベーコン

2017.7.13

保存食,シーズン1

 我が家には、もう加工食品がほぼありません。市販の加工食品には、多くの原料が使われていて、100マイル外から来ているものがほとんどです。もう買うことは諦めています。

 ですが、諦めきれないのは加工食品の美味しさ。口に入れた瞬間のパンチの効いた旨味は、生の食材では味わえません。挑戦したのはベーコンでした。

 ぶら下がる飴色のベーコンの塊。今回も男のロマン優先ですが、カッコいい男は、見えないところで時間をかけて努力するものです。ベーコンも同じ。我慢ガマンのベーコン作りのお話。

100マイル地元食のバイブル

 お料理や加工食品のレシピが知りたければ、ネット検索するだけで読み切れないほどヒットします。ですが、目に付くのは、時短レシピに、なんちゃってレシピ。なかなか最低限の材料を使った、本格ベーコンの作り方が見つかりませんでした。

 そんな時に出会ったのがこの本...「改訂版 絵を見て作れる 北国の手作り食品」(社団法人北海道農業改良普及協会 初版1982年、改訂版2002年)でした。今では、我が家のバイブルです。

 初版が1982年、私より1才年下の昭和っこです。つまり、今ほど加工食品が自由に手に入らず、今より家庭で加工食品を手作りしていた時代の本。内容は、驚くべきものです。

 漬け物、干物、味噌に豆腐、ケーキやパン、ヨーグルト、チーズ、何でも手作りできます。全てのレシピの基本的な原料が、北海道で採れる食材です。そして、ベーコンもありました。

下ごしらえは2週間の我慢

 ベーコンに使うのは豚バラの塊肉です。イオンで買った旭川産いも豚のバラ肉ブロックを2本、合わせて900gぐらいです。この肉に味を馴染ませ、水分を抜き、肉を熟成させるのが下ごしらえです。

 ここでまた登場するのが、万能シーズニングの黄金比です。誕生日ローストチキンにも応用したアレ、本家はこの本からでした。肉1kgに対し、塩大さじ2杯、砂糖大さじ1杯、そしてその時に家にあるハーブ大さじ1杯。ベーコンは保存食で濃い味付けが必要なので、ローストチキンの倍の量を使います。

 混ぜ合わせたシーズニングを3等分します。まず初日に1/3を肉の全面に擦り込みます。ビニール袋に入れて冷蔵庫で熟成させます。そして、3日目にもう1/3、5日目にさらに1/3...同様に擦り込みます。そして、10日目まで、我慢してずっと待ちます。

 10日目に取り出して、余分な塩を落とすため、さっと水洗いします。それから、13日目まで袋をかけずに裸のまま冷蔵庫に入れて乾かします。明らかに肉の色が濃くなり、熟成肉のような香りがプーンとしてきます。3日間は、冷蔵庫が素敵な香りになります。家族にはもちろん不評です。

 こんな気長なレシピ、そりゃ平成の現代では支持されません。生肉を2週間も冷蔵庫に入れておくのは、かなり勇気がいります。

5時間耐久燻製作り

 そして、クライマックスの14日目です。近所のホームセンターで購入した、キャンプ用の燻製器の出番です。1時間かけて、生肉の温度を30℃まで上げます。この日は、札幌も真夏日。そのまま外に置いておくだけです。

 そこから、スモークウッドに火をつけて煙を出し、40~50℃を維持しながら、3時間燻製します。暑い、煙い、しかも放っておくと温度が上がり過ぎちゃう。こま目にウッドを補給しないと火が消えちゃう。これはしんどい。そりゃ、普通の家はベーコン買います。

 3時間後、今度は60℃まで温度を上げ、1時間燻製します。これで表面が黄金の飴色に色づきます。2週間にわたるベーコン作りレースも最後の1時間、ラストスパートです。

 1時間が過ぎ、燻製器の扉を開けます。モアーっと煙が出た先に、100マイル燻製ベーコンが現れます。待たせたなぁ、昭和の往年のギャグ(コント赤信号渡辺リーダー)が頭をよぎります。端っこはちょっと焦げましたが、初めてにしては大満足の出来。

熟成肉の濃い味が誘うもの

 我が家に意気揚々と持ち帰ると、突然の妻の助言、ベーコンは燻製してから一晩寝かせるとさらに美味しくなるよ。また1日延びるのか...ここまでくれば、もう1日ぐらい待ってやります。

 翌朝、端っこを切って炙って食べます。これは旨い。スモークの香りに負けない、熟成肉の深い香り。程よい脂と強めの塩気。今まで買っていたベーコンとは何だったんでしょうか。全くの別物です。あぁビール飲みたい、けど無いや...結局、食べても我慢の2週間+1日でした。

材料とレシピ

燻製ベーコン

  • 豚バラ肉 900g  旭川 73
  • 塩   大さじ2杯  岩内 40
  • 砂糖  大さじ1杯  伊達 45
  • ローズマリー     道央 不明
  • オレガノ       道央 不明
  • パセリ 計大さじ1杯 伊達 45

  1. 塩、砂糖、ハーブを混ぜシーズニングを作る
  2. 1の1/3を肉の全面に擦り込み、ビニール袋に入れ、冷蔵庫に入れ、重しを載せ熟成させる
  3. 3日目、5日目に残り1/3ずつを擦り込む
  4. 10日目に流水で洗い、水気を取って裸で冷蔵庫へ
  5. 14日目に、冷蔵庫から取り出し30℃まで温める
  6. スモークウッドに火をつけ、40~50℃で3時間燻す
  7. 60℃で1時間燻す
  8. 冷蔵庫で一晩寝かせる

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