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【食材調達】高槻商店で再会したあの魚

EPISODE #224

【食材調達】高槻商店で再会したあの魚

2018.8.17

食材調達

100マイル地元食のチャレンジも残り1週間をきり、最後に行っておきたいお店がありました。日高エリアの東静内にある高槻商店です。太平洋の地魚で我が家のチャレンジを支えてくれた大切な魚屋さんです。

今回は、初めて家族で訪れた高槻商店とある魚との再会のお話です。

 

カッコ良すぎる魚屋さん

高槻商店がある東静内は、札幌の我が家から南東に78マイル(125.6km)先の太平洋に面した静かな港町です。途中、高速道路を使っても2時間半の道のり。なので、今まではずっと自分1人だけで買い物に行っていました。

でも、今日は妻と3人の子供たち、最後の1週間の助っ人で来てくれているお義母さんも一緒です。私が買い物に行く度に、サプライズの隠し玉を用意してくれる高槻商店の堀田さんの話を、ただずっと聞かされていた妻。チャレンジの最後に私たちにも会わせてよ、とお願いされて、ついにみんなで行くことにしました。

そんな私には、一つだけ心配なことがありました。我が家の女性陣を堀田さんに会わせて本当に大丈夫なのだろうか?彼は、男である私も惚れ込むほどにカッコいい魚屋さんです。たぶん妻もお義母さんも、長女(3)でさえも魅了してしまうはずです。

高槻商店の堀田さん

高槻商店の堀田さん

「今日は魚を買いに行くんだからね。堀田さんに会いに行くんじゃないから。」

ワクワクしている家族にそう言って、家を出ました。

 

堀田さんの先制パンチはオヒョウ

競走馬の牧場が広がる海沿いの道を走り、新冠の町の賑わいを越えて、静かな漁師町の雰囲気が出てきたところで、高槻商店が見えてきました。前の日にメッセージを送っていたこともあって、堀田さんは待ち構えていたように出迎えてくれました。

「いらっしゃい!ここ数日あんまり良い魚入ってないんですよ。」

そうは言いつつも何か隠し玉を用意してくれているのが堀田さんの凄いところです。食べたことあります?と言って出してきたのが、平目のような平らな魚、北の冷たい海でしか獲れないオヒョウでした。しかも、動画共有サイトで話題のホースの水圧を使った「津本式究極の血抜き」をしたオヒョウです。

すでに、血抜き後に数日間熟成してあるオヒョウ。持ち帰ってすぐに刺身にできるよう、目の前で五枚降ろしにしてくれます。素晴らしく切れる包丁を操り、最小の手数で捌いていきます。その間も軽快なトークは止まず、カメラアングルを考えて切り身をすっと置いてくれます。

高槻商店堀田さんのオヒョウ五枚おろし

オヒョウも包丁さばきも美しい

そんなプロの技術と、思い遣りに溢れた嫌味の無い所作は、見る者を魅了していきます。妻もお義母さんも目をキラキラさせて見惚れています。

 

1年ぶりのトキシラズとの再会

思わぬオヒョウの先制パンチを受けた私は、他にも面白い魚が無いか、店内の地魚のカウンターを眺めていました。そこに、久しぶりに見る変わった名前のシャケがありました。あのトキシラズでした。この魚は、昨年6月の100マイル地元食のチャレンジ開始して間もなくの頃、どうしてもシャケを食べたがる子供たちのために買って来た思い出の魚です。

日高沖のトキシラズ

一年ぶりに再会したトキシラズ

トキシラズは、季節外れの春から初夏に、北海道や三陸沖に回遊してくるシャケです。この魚は、種類は秋に北海道に帰ってくる秋鮭と同じですが、秋にロシアの川に帰るために、夏の北海道の近海で栄養を蓄えている脂がのった若いシャケなのです。

目の前の食材だけを見てガムシャラに突き進んできた我が家のチャレンジは、いつの間にか1年間を駆け抜けていました。図らずも再会した旬の魚に、時の進む早さを改めて思い知らされます。まだ旬が始まったばかりの「走り」のトキシラズも1本買うことにしました。

 

最後の隠し玉と決め台詞

オヒョウにトキシラズ、他にも地元の浜のアサリと白貝を買えて、すでに大満足の私たち。でも、堀田さんはまだ、最後の隠し玉を奥に隠していました。

「これお土産です。ハッカクの皮。唐揚げにすると美味しいですよ。」

ハッカクは文字通り断面が八角形のゴツゴツした魚。地域によってはトクビレとも呼ばれています。地元のスーパーにもなかなか並ばない珍しい魚なのに、その皮だけをお土産に持たせるとは、堀田さんのサービス精神にはいつも感動させられます。

日高沖のハッカク

ハッカクの鎧のような皮だけをお土産に

さて、美味しそうな旬の魚や自家製の干物を前に、堪らず買って送ってもらうことにしたお義母さん。これからも季節の魚を買いたいと言うお義母さんに、堀田さんは名刺を渡しながらこう言います。

「たまには声を聞きたいんで、いつでも電話くださいね。」

この一言がとどめになって、お義母さんと妻は高槻商店の大ファンになってしまいました。高槻商店に女性と連れ立って行くのは、ちょっとだけ注意した方が良いかもしれません。

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