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【食材調達】リンゴが食べたいなら苗を植えよう

EPISODE #219

【食材調達】リンゴが食べたいなら苗を植えよう

2018.7.24

食材調達

「増毛の果樹園にリンゴ植えに行きませんか?」

いただいた誘いに、いつもの通り二つ返事でOKします。1年間の挑戦の中でも、果樹農家さんにお会いできるのは初めてでした。

今回は、リンゴの苗木を植えるお手伝いで悪戦苦闘したお話です。

 

出会いに期待して増毛を目指す

この日は、「農業の未来研究所」の森平さんご夫婦の車に乗せてもらい、日本海沿いの道を北に向かっていました。増毛町(ましけちょう)の「佐藤健一果樹園」の農作業のお手伝いに行くのです。

久しぶりに自分以外の人が運転する車に座りながら、ウキウキとしていました。お二人からの誘いに乗ると、いつも素晴らしい出会いが待っていると知っていたからです。

車にはもう1人のゲストが乗っていました。札幌で人気の創作料理レストラン「SIO」(シオ)の副料理長の吉田さんでした。森平さんたちとはお仕事を通じてのお知り合い。車内は、お料理や農業の話で盛り上がります。

 

佐藤健一果樹園の佐藤さん

増毛町は札幌の我が家から北に58マイル(93km)にあり、国稀酒造の日本酒や甘えびで有名ですが、果樹も古くから作られてきました。明治元年から始まった北海道の果樹栽培、増毛では明治11年(西暦1878年)にリンゴ栽培が始まったようです。

佐藤健一果樹園」は、かつてニシン漁で栄えた往時の面影が残る海沿いの市街地から、暑寒別岳(しょかんべつだけ)がある南側に、沢に沿って上がった辺りにありました。

佐藤さんは、美味しい果物を作りたいと、20年前に勤めていた東京の食品の卸売会社を辞め、この地に移り住んだ情熱にあふれた方です。そして何よりも、私のようなちょっと普通ではない消費者が突然訪れても受け入れてくれる優しさに満ちた方でした。

佐藤健一果樹園の佐藤さん

佐藤健一果樹園の佐藤さん

 

リンゴの苗木植えは重労働

この日、佐藤さんは新しいリンゴの苗木を植える作業をしていました。札幌から参加した私たちは、この作業をお手伝いする助っ人なのです。私はもちろんリンゴの苗木を植えた経験などありません。本当に役に立てるのでしょうか。

サクランボの樹が並んだ細い道の先にある開けた土地で、佐藤さんのお父さんや地元のお母さん方がすでに作業を始めていました。重機で掘られた深さ1mほどの穴に支柱を立て、まだ細く弱々しい苗木を植えていくのです。

支柱

冬の北風に負けないよう支柱を立てて植えていきます

沢沿いの土地のせいか、掘り返した土には大小の石がゴロゴロと混ざっています。スコップで土を持ち上げようにも、石がガチっと邪魔して刺さりません。結局は手を使って、石を穴の中に放り込んでいくしかありませんでした。

石が多い沢筋の土

石が多い沢筋の土

でも、石が多い土は水はけが良いく、増毛の涼しくて昼夜の温度差が大きい気候と合わさって、美味しいリンゴがなります。厳しい環境にも負けず、この土地に初めて果樹を植えた明治の人には頭が下がります。

 

数年後のために今、苗木を植える

作業を始めて2時間ほどが経っても、植えられた苗木は20本ほど。中腰での力仕事のせいで腰が痛くなってきましたが、50本という目標にはまだまだ程遠い本数です。

でも残念ながら、そろそろ札幌に戻らないといけない時間でした。森平さんご夫婦と吉田さんも、慣れない初めての作業を楽しんでいました。いつか、自分たちで植えた樹になったリンゴを食べてみたくなりました。

SIO副料理長吉田さん

SIOの吉田さん(左)も楽しんでいました

こんなに苦労して植えた苗木、この樹にリンゴがなるのは何年先でしょうか。その時、我が家はどんな食生活をしているのでしょう。数週間後のチャレンジのゴールのこともわからないのだから、そんなに先のことは想像もできません。

ただ、帰りの車の中で、植え終わらなかった残りの苗木が無性に気になっていました。このお話はもう少し続きます。

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