MENU

TOP
【食材調達】雷鳴とどろく蘭越米

EPISODE #78

【食材調達】雷鳴とどろく蘭越米

2017.9.29

食材調達

厚田ふるさとあきあじ祭りで、見事な小さめのメス鮭を買えました。ご飯の友が手に入ったことで、頭はすぐに今年の新米に切り替わっていました。

これからは、天気と時間との戦いです。刻一刻と秋が過ぎ、冬に近づく北海道。今回は、蘭越米の稲刈りを追いかけたロングドライブのお話。

米農家さんにとって9月は緊張の時

北海道の稲刈りは、9月中旬から下旬に集中します。それは、突然訪れる初霜を警戒するからです。稲刈りを遅らせるだけ、成熟して美味しいお米になりますが、霜が降りれば米の品質が下がります。

それだけではありません。雨が多くなる季節。降ればモミが濡れて、稲刈りのコンバインの中で詰まるだけでなく、品質も落ちてしまって刈り取れません。この時期、米農家さんは、天気予報を睨みながら、ピリピリと神経を尖らせています。

すでに9月23日。これから初霜が降りるまでの1から2週間のうち、雨が降っていない日でしか稲刈りを見ることができません。何も予定が無く、自由に動ける残りの日を考えると、もう時間の猶予はほとんどありませんでした

雨雲の下 蘭越町へのロングドライブ

厚田港の祭りを後に、目指したのは蘭越町でした。以前、札幌の西側を食材調達で走り回った時、初めて見つけたのがこの米産地です。厚田から南に戻り、まず札幌を通り過ぎます。中山峠を越えて、羊蹄山を回り込み、尻別川沿いに走ると蘭越です。3時間半の道のりでした。

空には、次第に黒い雲が集まり、ポツリポツリと降っていた雨が、大粒の雨になりつつありました。広がる水田は、もうすでに半分ほどが刈り取られた後でした。そして、実った稲穂に雨があたり垂れ下がってきています。もう時間がありません。

黒川農場の直売所に着きました。すでに新米の販売が始まっていました。まずは、ゆめぴりかななつぼしの新米をたっぷり買い込みました。時間はすでに、午後5時前。お店にいらっしゃった黒川農場のお母さんに、まだ稲刈りをやっているか尋ねます。

無念の空振り

「今日はずっとやってたけど、雨が降ってきたから、もう終わってるかもしれない。」

黒川農場の田んぼの場所を教えてもらい、急いでお店を後にして向かいました。間に合わなかったか。すぐに着いた黒川農場の田んぼでは、やはり稲刈り作業は終わっていました。ここまで車を走らせて来たのに、無念です。

稲刈りを見学できた農家さんのお米を食べたい。たったこれだけの願いをかなえることもできないのか。季節の移り変わりの早さと、打ち付ける強い雨を恨みます。尻別川の土手に車を停め、蘭越の水田地帯を見下ろしていました。

雷鳴 ぶつかった壁

突然、鳴り響く雷鳴。雨も一段と強まります。最後まで稲刈りをしていた農家さんが、大切なコンバインが濡れないように慌ててシートをかけています。雨に濡れるだけではなく、雷が落ちるかもしれず、ここにいるのは危険でした。

 

私と一緒に車の外に出ていた長男(6)と娘(3)と、すぐに車に戻ります。車まであと10mというところで、今までで一番大きい雷鳴がすぐ後ろで響き渡りました。妻が開けてくれたドアに子供たちを押し込み。私も飛び乗ります。そして、札幌に向け、今来たばかりの道を引き返すのでした。

長い一日に疲れた家族が、少しの間だけ眠っていました。弱気になり始めた私はずっと考えていました。今年の我が家の100マイル地元食チャレンジ稲刈りを体験することはできないかもしれない。

いつでも会いに行ける農家さんとの関係を作る。ただこんなことが、普通の消費者にとって、これほどに難しいとは思ってもみませんでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


前の記事へ

次の記事へ