2017年の6月から始まった1年間の100マイル地元食チャレンジも、最後の1か月を迎えました。やり残したことを全部やろう。キャンピングカー旅行での生産者さんへのお礼参り、手間のかかる料理と今後につながる新しい出会い。そして、最後の晩のラストディナー。今まで以上に駆けずり回った激動の1か月でした。

今回は、5月のストーリーをまとめたダイジェスト。私たちがこの生活に感動してきた理由のお話です。

 

最後の1か月は答え合わせの時間

私たち家族の人生の中で、たぶん特別な意味を持つはずのこの1年間。私たちは、数えきれないほどに感動を繰り返してきました。じゃあ、なぜ私たちは感動していたのか。おぼろげながら掴みかけていた答えを、私たちは最後の1か月で確かめたかったのかもしれません。

私と妻がドキドキしながら答案用紙に書き込んだのが、「大切な友人たちが作ってくれた食べ物を食べるから感動する。」という答えでした。これが本当に正しい答えなのか、ただの勘違いの仮説なのか、それとも残り時間がわずかになってひねり出した当てずっぽうなのか。1年間のチャレンジのゴールの瞬間には、わかっているはずでした。

「まずは自分たちの答えを信じて、思いきり走り回ってみよう。」

そう考えた妻と私は、我が家のチャレンジを支えてくれた地元の生産者さんという友人たちに、一人でも多く会いに行こうと考えました。この1年間で3万kmを走破した愛車を駆り、時にはキャンピングカーに乗り換え、北海道内の山と海を走り周りました。食材を手渡しすることで会話する。少し変わった友人との再会の日々です。

 

生産者さんを巡るキャンピングカー旅行

我が家が北海道に移住してから2度目のキャンピングカー旅行。でも今回は、100マイルルールを適用した100マイル旅行です。ある日、一杯のハーブティーを飲んでから、妻が会えるのを心待ちにしていた旭川市の「はせがわファーム」では、長谷川さんご夫婦が優しく畑を案内してくれました。我が家のお米を作ってくれている「ぬまんち」では、田植え前の苗を子供たちに見せることができました。

キトウシ森林公園家族旅行村オートキャンプサイト
キャンピングカーで生産者さんをめぐる旅

士別市では、地域おこし協力隊の加藤君が希少なサフォーク種の羊肉を塊で買うために、奔走してくれました。上川町の情熱的な農家さん「辰巳農園」の畑で買った大豆コーヒーは、我が家の食後の時間をずっと豊かにしてくれました。新十津川村の「金滴酒造」では、ずっと買い続けてきた日本酒をやっと直接買うことができました。

そして、この旅行で得られたもう一つの特別な体験がありました。チャレンジを開始した日からずっと我が家の命を支えてくれていた、地元の塩 “星の塩” の生産者さんに会えたのでした。岩内町の漁師さん、金澤さんが営む「金澤鮮魚店」を訪れ、地元の海水から塩が生まれる瞬間に立ち会うことができたのです。こうして、100マイルルールのキャンピングカー旅行は、多くの思い出と食材を冷蔵庫に詰め込んで、完走できたのでした。

金澤鮮魚店 星の塩
金澤さんと星の塩を手に

 

手の込んだ料理と明日につながる出会い

チャレンジ中に必ず一度は作りたかった料理がラーメンでした。留萌市の超強力粉 “ルル・ロッソ” と、かん水の代わりの “星の塩のにがり” で作った中華麺と、「はるきちオーガニックファーム」の鶏ガラや余市町のニシンでとったスープは、相性抜群です。ずっとラーメンを食べたがっていた子供たちが、何度もおかわりするほどの出来栄えでした。

100マイルラーメン
3日かけて完成した100マイルラーメン

士別のサフォークラムに手作りのタレをからめた北海道のソウルフード、ジンギスカンは、バーベキューの雰囲気もあって、素敵な思い出になりました。自家製のアンチョビと、留寿都村の「よしかわファーム」のアスパラガスで作ったバーニャカウダは、ほろ苦く奥深い旬の地元の味でした。東静内の高槻商店で、1年ぶりに再会した鮭 “トキシラズ” は、教えてもらった焼き浸しで食べました。旬の意味をしみじみと考えてしまう味でした。

最後の1か月だと言うのに、新しい出会いも待っていました。増毛町の佐藤健一果樹園では、リンゴの苗木を植える作業をお手伝いすることができました。リンゴがなるのは数年後。また楽しみが増えました。札幌の大都会のすぐ裏側では、レストランSIOが始めた農園「Farmland農風景」と出会いました。畑で野菜を選んで買う。これ以上に新鮮な野菜は世界中を見渡してもありません。新たな食材の買い方が、我が家の食生活に新たな可能性を見せてくれました。

Farmland農風景
Farmland農風景の畑で野菜を買う

 

ラストディナーは我が家らしく

チャレンジ最終日の夕飯は、「友人から直接買った食材だけ」を使って作りました。伊達市の農家さん「EIKOグリーン」から買ったカブと、和寒町の「和寒シーズ」の “ペポナッツペースト” で作ったペポ和え。新得町の自動車教習所で育った “新得地鶏” のカリカリ焼きに、鶏ガラスープで炊いたお肉ご飯。寿都町の漁船「丸本丸」の上で体験した定置網漁で獲れた “船上活〆サクラマス” もお刺身にしました。一品一品に、我が家の思い出が詰まっています。

トキシラズの焼き浸し
旬の美味しさを詰め込んだトキシラズの焼き浸し

メインに作ったのは、むかわ町の「むかわのジビエ」の鹿肉の赤ワイン煮です。コトコトと時間をかけて煮込んで柔らかくなった鹿肉でしたが、より美味しく食べるために、自分たちで決めた約束を破ってバターを入れることにしました。

むかわのジビエ鹿肉の赤ワイン煮
やっととろみがついた鹿肉の赤ワイン煮

妻が作ってくれた、「はるきちオーガニックファーム」の “平飼い有精卵” と、新ひだか町の「太田養蜂場」の蜂蜜で作ったメレンゲ菓子は、サクサクどころかペタペタ。最後の日まで、行き当たりばったりで失敗さえも楽しんでしまう、我が家らしい夕食になりました。

ペタペタメレンゲ菓子にブルーベリーソースと大豆コーヒー
ペタペタメレンゲ菓子にブルーベリーソースと大豆コーヒーを添えて

そこには、とても静かな気持ちですが、確かに心の深いところで感動している私たちがいました。1年間のチャンレンジのゴールの瞬間、何が私たちを感動させているかをついに知ることができたのです。