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EPISODE #98
【お料理】寿都の秋サバでしめ鯖作り
寿都漁港の浜直市場で買った大きなサバ。長男(6)の期待に応えて、刺身で食べられるようにしめ鯖を作りました。手間をかけてやっと完成したしめ鯖。家族で食べてみると、3人3様の反応でした。
今回は、初めてのしめ鯖作りと、意外な食べ方のお話。
刺身の美味しさを覚えた長男(6)は、知っている魚を全て刺身で食べたいようです。初めはマグロの刺身しか食べませんでした。ですが、100マイル地元食の挑戦を始めてから、マグロがなかなか入手できなくなると、少しずつ他の魚に興味を持つようになりました。
平目、黒ソイ、白鮭と、北の海の幸の味を覚えました。そんなある日、サバの刺身が食べたいと言い出しました。挑戦開始前、我が家の食卓に一番多く並んだのは、ノルウェー産の塩サバの焼き魚でした。
サバの焼き魚があれだけ美味しかったのだから、刺身も美味しいはず。彼の頭の中ではこう考えたのでしょう。ですが、サバは温かい海に多い魚。地元産のサバにはなかなか出会えませんでした。そんな時、寿都漁港の浜直市場で大きなサバが手に入ったのです。
この大きく太いサバを刺身で食べさせたい。でも、サバには最近騒がれている寄生虫、アニサキスが多くいます。そのままでは怖いので、しめ鯖を作ることにしました。塩と酢で絞め、冷凍庫で一度凍らせてから刺身にすれば、アニサキスを退治できます。
サバを3枚におろし、まずは砂糖をたっぷりまぶして水気を抜いていきます。塩で水抜きするより、砂糖の方が早く抜けるらしい。NHKの番組で特集されたことで、ネット上のレシピは砂糖絞めが主流になっています。これだと貴重な塩を節約できる。我が家としては、こっちの方がガッテンです。
水洗いした後、次は味付けのための塩をまぶし、また水洗い。最後に酢で絞めます。十勝ヒルズのお酢の内、一番クセが無い、ながいも酢を使いました。作っていて思い知りました。大人になってからやっと刺身が食べられるようになった私は、青魚の匂いが苦手でした。
焼いてしまえば、サバも、イワシもサンマも大好きですが、生だとやっぱり匂いが気になります。できれば、酢でしっかり絞めて生臭さを消し去りたい。でも、酸っぱ過ぎると長男は食べないでしょう。が、どのぐらいがちょうど良いのかわかりません。
子供たちが寝てから作り始めたので、時刻はすでに夜中2時。もういいか...酢から取り出し、冷凍庫に入れて2日間凍らせれば、アニサキスの退治完了です。翌々日の夕飯にしめ鯖の刺身を出しました。長男は食べてくれるでしょうか。
一口食べて、「酸っぱい。大人用の刺身でしょ?」その1枚目だけで、全く食べてくれませんでした。それならと、私も食べてみました。うーん、青魚臭い。私にとっては酢の味が弱すぎて、苦手な味でした。帯に短しタスキに長し。後は妻に託しました。
妻に感想を聞くと、浅い漬かりだけど、秋サバの脂の旨味が残ってて、これはアリとのことでした。いつも刺身は取り合いになるので、みんな急いで食べますが、この日は妻だけしか食べません。ゆっくり食べている姿を見て、少しイラっとしていました。
翌朝、早く起きた私は、妻に内緒で、残っていたしめ鯖の半身を焼いて食べる事にしました。これは、素晴らしく美味しい。サバの脂が活性化してしっとりしています。わずかに残った酢の酸味が味を引き締めています。そしてなんと言っても生臭くない。
こんなサバの食べ方があったのか。感動する味でした。でも、二度と味わえないでしょう。わざわざ3日もかけてしめ鯖を作った後で、焼き魚にするなんて。
起きてきた妻が、「なんか魚臭くない?」と聞いてきました。
「ごめん、しめ鯖焼いて食べちゃった。」と私。素敵な1日の始まりです。