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釣れた日の魚ご飯

EPISODE #26

釣れた日の魚ご飯

2017.7.11

お料理,シーズン1

 これまではただの趣味だったものが、100マイル地元食を始めたことで、家族から感謝されるものがありました。その1つが釣りです。

 釣りは、休みの日に長い時間、家を空けてしまいます。夜の釣りから帰ってくるといつまでも昼寝をして、家事を手伝いません。釣りをする父親は、家族の理解を得るのが大変です。

 でも、今の我が家では事情が変わりました。釣りは食材調達。100マイル内で釣った魚は、全て100マイルルールを満たしています。そして、魚を釣って帰ってきた日に、決まって作るのが魚ご飯です。

釣りパラダイス北海道

 私の趣味の中で、最も長く続いているのが釣りです。私が中学生だったころ、野球部の友達が教えてくれました。その頃は、横浜に住んでいて、行くのはもっぱら横浜港大黒ふ頭でした。ベイブリッジの真下で釣る、都会派釣り少年でした。

 それからは、しばらくは釣りから離れていました。再び陽の光を浴びたのは、北海道に来てからでした。北海道は、どこでも、どんな魚でも釣れる、釣りパラダイスです。そして、本当にきれいな海で育った魚は、本当に美味しい。家族もそれを知っています。

一路、夜の室蘭へ

 北海道での釣りの師匠に誘われ、夕方から室蘭港へ向かいます。この日は大潮と言って、潮の動きが大きく、魚もやる気になるビッグチャンスでした。日没から釣りを開始。狙うのは、海底にひそむ、ロックフィッシュという、ソイやアブラコ、カジカなどです。

 エビや小魚に似せたルアーを投げ、生きているかのように動かし誘います。モゾモゾ、グングン、ガツン、魚がルアーに食いついた動きが、糸を通して手に伝わります。一気に竿を引き、合わせると、魚との格闘が始まります。この瞬間、狩人の本能がむき出しになり、気分は最高潮です。30㎝オーバーの見事な黒ソイでした。

 その後、ポイントを移動します。1時間ほどかけて苫小牧港へ。ここでは、今が旬のマメイカを狙います。港の明かりに集まったイカが、群れで泳いでいるのが見えます。コツをつかむと釣れる釣れる。あっという間に11匹も釣れました。そして、この夜、夜明けの最後のチャンスに釣れてくれたのは、カジカでした。

釣れた日はやっぱり魚ご飯

 徹夜の眠気も、釣れた喜びで吹き飛びます。家に帰ると、子供たちが出迎えてくれます。黒ソイ釣れた?息子が聞きます。彼は、すでに黒ソイの美味しさの虜です。タイがあまり獲れない北海道では、ソイは重要な白身の魚です。タイと比べられるほどに旨い。

 黒ソイが釣れた日に必ず作るのが魚ご飯です。黒ソイを3枚におろし、頭と骨でダシをとります。このダシで炊いた炊き込みご飯が、魚ご飯です。新鮮でしっかりとした処理をした黒ソイは、全く嫌な臭いがしません。土鍋のフタを開けた瞬間の湯気、爽やかな海の香りです。

蒸らしおわった魚ご飯に三つ葉と青ネギを

 今日は、大漁なので、もっと作ります。マメイカは、刺身、茹でイカの山わさび和え、ガーリックバジルソテー、新鮮な方が美味しいイカはこの日のうちに全部食べてしまいます。

 そして、カジカは、やっとできた100マイル味噌を使って、味噌汁にします。カジカは、別名”鍋壊し”。箸で鍋を突っつきすぎて鍋を壊してしまうほど、美味しいからです。昆布ダシに、カジカ、大根、ネギ、ニンジン、しめじを入れ、味付けはたっぷりの味噌です。

父親がスターになれる夕食

 魚ご飯は、3合炊きました。いつもの白飯なら、3合だと少し残ります。この日の魚ご飯の減りの早いこと。黒ソイの旨味、ほんのり塩味、最後に入れた三つ葉と青ネギの爽やかさ。おかずが山ほどあるのを忘れ、魚ご飯を一気に食べてしまいます。

 そして、イカ3品です。コリコリした歯応えの刺身。美味しい。でも、残りの火を通した2品には適いませんでした。マメイカは、加熱すると歯応えと旨味が増します。イカそのものの風味が楽しめる山わさび和え。濃厚でガツンとくるガーリックバジルソテー。

 最後に、カジカの味噌汁です。改めて実感します。日本人は、発酵食品がないとダメなんだ。ただでさえ美味しいカジカのダシに、発酵された大豆と米糀の旨味が加わります。柔らかくなった野菜に味がしみています。

 家族がこんなに喜んでくれるなら、毎日だって釣りに行かせてもらっていいのに。ですが、そうはいかないのが父親の難しい立場です。

材料とレシピ

魚ご飯

  • 黒ソイ 室蘭 51mile
  • 昆布  浦河 97mile
  • 米   蘭越 44mile
  • 塩   岩内 40mile
  • 砂糖  伊達 45mile
  • 日本酒 増毛 57mile
  • 三つ葉 伊達 45mile
  • 青ネギ 伊達 45mile

  1. 黒ソイを3枚におろす
  2. 頭と骨と昆布を圧力鍋で15分煮込みダシをとる
  3. 研いだ米にダシを加えて吸わせる
  4. 塩、砂糖、日本酒で味を薄めに味付けする
  5. 強火で沸騰させ、弱火にして14分、火を消して14分
  6. フタを開けて、刻んだ三つ葉と青ネギを入れ、混ぜる

マメイカの刺身

  • マメイカ 苫小牧 40mile
  • 山わさび 留寿都 30mile
  • 塩    岩内  40mile

  1. イカのワタをとり、薄皮を剥く
  2. 細切りにして、すった山わさびと塩と盛り付ける

マメイカの山わさび和え

  • マメイカ 苫小牧 40mile
  • 山わさび 留寿都 30mile
  • 塩    岩内  40mile

  1. ワタをとったマメイカの、胴とゲソを一口大に切る
  2. お湯に塩を加え、さっと茹でる
  3. 茹で上がったイカに、粗く削った山わさびをかける

マメイカのガーリックバジルソテー

  • マメイカ 苫小牧 40mile
  • 米油   深川  35mile
  • バター  江別  12mile
  • にんにく 留寿都 30mile
  • バジル  道央  不明
  • 塩    岩内  40mile
  • 甘えび粉 留萌  65mile

  1. ワタを取ったマメイカの胴とゲソを1口大に切る
  2. 米油とバターで、刻んだニンニクを弱火で炒める
  3. マメイカを入れ、さっと炒める
  4. 刻んだバジルを入れる
  5. 塩、甘えび粉で味を調える

カジカの味噌汁

  • カジカ 苫小牧 40mile
  • 昆布  浦河  97mile
  • 大根  伊達  45mile
  • 人参  伊達  45mile
  • 長ネギ 伊達  45mile
  • しめじ 苫小牧 40mile
  • 味噌  我が家  0mile
  • 日本酒 増毛  57mile

  1. 昆布でダシをとる
  2. カジカのワタを取ってぶつ切りにする
  3. カジカに熱湯をかけて流水で洗う
  4. 昆布ダシにカジカと日本酒を入れ、加熱する
  5. 野菜を切って入れ、柔らかくなるまで加熱する
  6. 味噌で味を調える

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