©100マイル地元食
EPISODE #7
ハーブの無いミネストローネ
北海道-道央エリア
6月
農家さんとの出会い
少しずつですが、100マイル地元食ルールで買える食材が増えてきました。そうすると手の込んだ料理が作りたくなります。くるるの杜で買ったトマトジュースや、留寿都村の吉川さんが作った大豆、他にも野菜がたっぷりあります。
これなら、ミネストローネが作れるかもしれない。食材が限られる分、今までの気軽なお料理よりも、うまく作れるか不安です。
100マイル地元食を始める前の料理では、ミネストローネはローリエを入れないと美味しくないと信じていました。それに、最後に振りかけるコショウが無ければ、締まりがない、ぼやけた味になってしまう。
だけど、この食生活を始めてしまったからには、少し食材が足りないぐらいで、お料理を諦めていられません。足りないなら別の食材で補ってあげるしかありません。
幸いなことに、我が家の冷蔵庫には、近所のナチュラル志向スーパーでたまたま買っていたパセリと、留寿都村の道の駅で買えたニンニクがありました。香りは何とかなるかもしれません。
我が家には現状、調味料が星の塩しかありません。塩でできる味付けは、最低限の塩味だけ。他の甘味やうま味は、素材から引き出すしかありません。
甘みは、富良野産の玉ねぎ、留寿都のユリ根とよしかわファームさんの大豆から。うま味は、くるるの杜で買えたトマトジュースと、スーパーで買った苫小牧の豚。それに、近くの酒屋さんで買えた、さっぽろ藤野ワイナリーのブドウだけで作った赤ワインが爽やかさと深みを与えてくれます。
いつもより、食材を小さく切り、じっくりと火を通していくと、鍋から立ち上がる香りが変わっていきます。久しぶりに思い出す、美味しい香りです。
トマトジュースとワインの赤が溶け込み、深みを増した色合いのスープを器に盛り、刻んだパセリを振りかけると、それはすでに、何も足りないものが無い、完全なミネストローネでした。
この日は、スープが好きじゃなく、魚が好きな子供たちのために、カスベ(北海道で愛されるエイ)のムニエルを、大人の健康のためにモヤシと昆布のナムルも作りました。
誰よりも先にアツアツのミネストローネを口に運び、驚きます。パセリとニンニクの香りだけじゃない、豚の油の少し焦げた甘い香り、赤ワインの優しい発酵した香りもします。それぞれの食材の味がしっかりと感じられますが、岩内町の星の塩の塩味が、それぞれの味を一つにまとめています。これは美味しいかもしれない。
その直後に家族からも驚きと喜びの声が漏れます。すべての手間が報われる瞬間です。子供たちはミネストローネに目もくれず、カスベに夢中。それでもいいんです。
この料理はまた作りたい。でも、ハーブがあればもっと美味しく作れるのに。ハーブを求める宝探しが始まる予感がしました。
ハーブの無いミネストローネ
カスベのムニエル
モヤシと昆布のナムル